しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。
2018年からはじまったばかりの「つみたてNISA」。
投資初心者が安心して始められるよう、環境を整えてくれてはいるものの、ものごとには必ずメリットとデメリットが併存しています。
自分にあっていそうだから始めようかなぁと考えている場合に、始める前に知っておくべき注意事項などをご紹介していきます。
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投資信託は保護されるのか?
預金は、元本1,000万円までは保護されるということは、聞いたことがある方も多いと思います。
それでは、保険や投資信託は保護されるのでしょうか?
結論から言うと、保護される仕組みはあるのですが、少々複雑になっています。
いざという時に、自分の資産が守られるのかどうか、きちんと理解しておきましょう 😉
預金の保護
金融機関が万が一破綻した場合に、預金をしている人を守るために作られているのが、預金保険制度です。大手メガバンクだけではなく、ネット銀行などもきちんと加入しています。
運営は預金保険機構が行っていて、各金融機関は預金保険機構に対して預金保険料を支払っています。私たちが保険料を払う必要はありません!
銀行ごとに、「元本1,000万円とその利息」が保護されますので、同じ銀行の違う支店にいくつか口座を持っていた場合も、名寄せと言って全部合算して判断されます。
事業用の口座と個人用の口座であっても、同一人物の預金として名寄せされてしまいますので、保護の範囲に収めるためには、銀行を分けておく必要があります。
預金と呼ばれるものなら何でもOKというわけではなく、海外支店で受け入れた預金や、外国銀行の在日支店は対象外です。
さらに気を付けるべき点としては、
- 外貨預金
- 譲渡性預金
- その他、元本補てん契約のない金銭信託
は、国内の銀行に預けていたとしても保護の対象外となります。
銀行の窓口などでは勧められる機会も多いと思いますが、外貨預金は保護の対象外ということは、しっかり頭に入れておいたうえで判断した方がいいですね。
保険の保護
保険商品も、保険会社が破綻した場合、生命保険(損害保険)契約者保護機構によって、責任準備金の90%が保護されています。
責任準備金とは、保険会社が将来の保険金支払いに備えて、保険加入者から受け取った保険料の中から積み立てて運用している資金のことです。
ですので、自分が支払った掛金満額のことを指しているわけではありません。
一般的に掛け捨てと言われる「定期保険」では、責任準備金は少なく、貯蓄性のある「積立保険」では、責任準備金が大きくなります。
残念ながら、責任準備金は一般公開されていませんので、自分で知る方法はありません。
保険会社に確認すれば教えてもらえますが、おおむね解約返戻金と比例しているので、解約返戻金を目安に金額のイメージを持っておくといいでしょう。
投資信託の保護
投資信託は、販売会社・運用会社・信託銀行という各機関がそれぞれの役割を果たすことによって成り立っている金融商品です。
そのため、それぞれが破綻した場合にどうなるのか、確認しておく必要があります。
販売会社が破綻した場合
そもそも、販売会社(=銀行や証券会社など)は投資信託の取引をする際の窓口という位置づけです。
私たちが直接お金のやり取りを行う相手なので、販売会社に預けているような気分になりますが、実は運用されている財産は「信託財産」として信託銀行で管理されています。
そのため、販売会社がつぶれたとしても、「信託財産」には影響がありません。別の販売会社に窓口が移管され、引き続き取引を行うことが可能なのです。
運用会社が破綻した場合
運用会社は、加入者たちから預かった掛金を使って、どの個別株式や債券を買ったり売ったりするか? という方針を決めて、信託会社に指示を出す役割を果たしています。
監督とか司令塔といったイメージですね 😉
つまり、預かったお金は一切持っていませんので、運用会社がつぶれたとしても、直接的な影響はありません。
別の運用会社に引き継がれて運用が続けられるか、繰上償還されます。
信託銀行が破綻した場合
投資信託の信託財産は、信託銀行の財産とは区分して管理することが義務付けられています。
そのため、信託財産がつぶれた場合でも、私たちの信託財産が差し押さえられてしまうことはありません。破綻時の基準価額で解約されるか、他の信託銀行に移管されることとなります。
このように、「分別管理」をすることが法律上義務付けられていますので、信託財産そのものがなくなってしまう可能性は低いです。
さらに、日本投資者保護基金という制度が設けられており、証券会社は加入が義務付けられています。
何らかの理由により、証券会社が分別管理の義務に違反していたことにより資産の返還ができなくなっている・・・という場合であっても、1,000万円を上限に、日本投資者保護基金が保証してくれますので安心です。
心配な方は、証券会社ごとの資産が1,000万円を超えないように、資産配分をしておくといいですね。
このように、証券会社を利用した場合には、分別管理と日本投資者保護基金という2つの制度によって保護されているわけです。
ただし、完全になくなってしまうことがないとは言っても、元本そのものが保護されているわけではありません。
もしも破綻により繰上償還や解約が行われてしまった場合、そのタイミングで大きく値下がりしていれば、損失が生まれる可能性もあります。
つみたてNISAのデメリット
つみたてNISAは投資商品ですので、ある程度安全な環境とは言え、それなりに気を付けておくべき点があります。
また、つみたてNISA独特の不利な点もありますので、しっかり押さえておきましょう。
元本割れの可能性がある
iDeCoの場合には、預金や保険などの元本保証型と呼ばれる商品を選ぶことができますが、つみたてNISAの対象は、投資信託とETFのみです。
これらは、元本が上がったり下がったりと変動する商品ですので、いくら金融庁のお墨付き商品だとしても、運用中に元本割れを起こす可能性があります。
どうしても現金化したいタイミングの時に、たまたま値下がりをしていることだってあり得ます。
短期的に利用する資金ではなく、少なくとも10年以上先に使うことを目的とした資金のみで、かつ余裕資産の範囲内で運用することをおすすめします。
損益通算ができない
通常、投資信託で利益や損失が出た場合、1月~12月の全ての利益と損失を合算して、トータルでの利益に対して税金を負担することになります。
いろんな証券会社を併用していても合算が可能で、このルールを「損益通算」と呼んでいます。
例えば、証券会社Aで30万円の利益、証券会社Bで20万円の損失という結果になった場合には、30万円-20万円=10万円に対して、20.315%の税負担となります。
ですが、つみたてNISAと他の投資信託との間で損益通算をすることができません。
上記の例で、証券会社Aで30万円の利益、証券会社B(つみたてNISA)で20万円の損失という結果になった場合には、30万円に対して、20.315%の税負担となってしまいます。
つみたてNISAしかやらないという方にとっては、あまり関係ありませんが、慣れてくると、将来投資の幅を広げたくなる可能性があります。その時のために、知っておく必要はありますね。
繰越控除ができない
通常、投資信託で損失が出た場合、損が出たことをきちんと確定申告しておくと、3年間にわたってマイナス分を繰り越して、利益と相殺することができます。このルールを「繰越控除」と呼んでいます。
例えば、2018年に10万円の損失を出したとします。
2019年に5万円の利益 △10万円+5万円=△5万円 税負担0円
2020年に2万円の利益 △5万円+2万円=△3万円 税負担0円
2021年に4万円の利益 △3万円+4万円=1万円 税負担は1万円×20.315%
という感じで、税負担が軽減されます。
つみたてNISAでは、この繰越控除を受けることができません。
上記の例でいうと、2019年には5万円、2020年には2万円、2021年には4万円に対して、20.315%の税金がかかります。
長年にわたって投資を続けて欲しいので、3年の控除は意味がない・・・ということなのでしょうね。
非課税期間に期限があり、評価額が変わってしまう
例えば、つみたてNISAで投資した40万円の投資信託が、たまたま非課税期間の終了時に30万円に下がっていたとしましょう。
しばらく持っておけば、値上がりするから売却せずに置いておこう! ということは可能なのですが、その場合には、つみたてNISA口座から、一般の課税口座へ移管することになってしまいます。
その場合、移管をしたタイミングの時価が、課税口座ににおける取得価額になってしまうのです。
つまり、30万円の投資信託を、課税口座に受け入れたという取り扱いになります。
その後、順調に値上がりし、40万円に戻ったところで、資金の需要ができて売却したとします。
40万円(売却額)-30万円(課税口座の取得価額)=10万円の利益
と認定されてしまい、10万円×20.315%の税負担が発生するのです。
もとに戻っただけにも関わらず・・・です 👿
このリスクはしっかり意識しておいた方がいいですね。
相場をコントロールすることはできないので、10年~15年ぐらいたったところで、出口戦略をどうするか? をしっかり考えておく必要があるでしょう。
おわりに-事前知識を持っておき、上手に制度を活用しよう
いろいろ注意点があって、めんどうだなぁと思われたかもしれません。
聞きなれない言葉や複雑な仕組みがあったりして、慣れるまでは、ちょっと大変に感じるかもしれません。
ですが、これからの時代、実際に使うかどうかは別として、投資に関する基礎知識を持っておき、自分で選んでいくことは必修科目だと思います。
つみたてNISAに関しては、まだまだ知っておいて欲しい注意点がたくさんあります。非課税枠をムダなく使うために、どうしたらいいのかを考えてみます。
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