しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。
新聞やニュースなどでご覧になった方も多いでしょうが、12月14日に来年度の税制改正大綱というものが発表されましたね。
PDFで掲載されていますが、全部で122ページもあります。
どうせ税金なんて取られるんだから、知ったってしょうがないじゃん。
知らないうちに生活が苦しくなってた・・・とか、手続きすれば払った税金が戻ってきたのに・・・なんていうことにならずに済むんだからね!
税金や社会保障の動向にアンテナを張っているかどうかは、家計の管理には大きな影響を及ぼすんです。
親切に教えてくれる人(や会社)は、なかなかないですし、自分で申請しなければ受けられない控除なんてたくさんあります。
- しっかりと情報をつかんで、自分にあう節税策をセレクトしながら活用していく。
- 増税の影響を受けるかどうかを早めに察知し、支出全体のバランスを再確認する。
これができるかどうかで、生涯で自由に使えるお金は大きく変わってきます。
だからこそ、この時期に発表される与党の「税制改正大綱」に書かれている内容は、しっかり注目しておきたいところです!
でも、なぜ与党の「税制改正大綱」なのでしょうか。
税制改正のニュースは、一見似たような単語だけど、実は指しているものが違うことがあったりして、頭の中がごちゃごちゃしがちです💦
すこーし遠回りに感じるかもしれませんが、いったいどんなスケジュールで税制改正が決まっていくのか、そこに関わる組織にはどんなものがあるのか、ポイントを押さえておけば、日々の情報へのアンテナの張り方が変わってきます。
さっそく、一緒に見ていきましょう!
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税制改正のスケジュールを見てみよう
気合いを入れて覚える必要はありませんが、だいたいどんな時間軸でものごとが決まっていくのか・・・ということを知っていると、断片的に入ってくるニュースの位置づけが分かり、頭の中が整理しやすくなります。
ということで、さっそく一般的な税制改正のスケジュールについて、まとめてみますね。
8月末-税制改正に関する要望書が、各府省庁から提出される
協会団体とか税理士会などから来年度の税制改正に関する要望を集めたうえで、内閣府と各省庁が担当機関へ税制改正要望を提出します。
- 財務省主計局-国税に関する税制改正要望
- 総務省自治税務局-地方税に関する税制改正要望
国税と地方税では、所管が異なりますので、提出先も分かれます。
ちなみに、同時に国の予算の「概算要求」というものも、8月31日が締め切りとなっています。
国の立場に立つと、
- 税金=収入(歳入)に関わる話
- 概算要求=支出(歳出)に関わる話
なので、両方をトータルで考えないといけませんよね。
必要な情報が同タイミングで集まるように、スケジュールが組まれています。
秋-政府税制調査会(政府税調)で議論
内閣府に「税制調査会」というものが置かれています。
これが、一般的に政府税制調査会とか政府税調とか呼ばれているもので、内閣総理大臣の諮問機関です。
政府税調は、大学教授や経営者などの学識経験者から内閣総理大臣が任命した委員によって構成され、中長期的な税制のあり方について議論されています。
分かりやすいところで言えば、配偶者控除の改正については、この政府税調で方向性が議論され、現在につながっています。
現時点で公開されている、2018年度の審議状況がこちら ↓
※内閣府HPより引用
2018年度については、まだ途中経過です。おそらくこれから議論のとりまとめが行われ、資料や議事録が掲載されていくでしょう。
どんなことが話し合われているのか、興味があれば内閣府のホームページで議事録や会議資料がダウンロードできますので、読んでみてもいいですね。
・・・と言っても、ものすごいボリュームなので、そんなに簡単には読めませんが💦
秋-与党税制調査会で議論
あれっ、また同じこと書いていませんか? Misakiさん、間違ってコピペしたものを残しちゃったでしょー 😀
そう思いますよねぇ・・・💦
実は、政府の税制調査会とは別に、与党の税制調査会というものが置かれています。
政府税調が、どちらかというと中長期的な視点で議論をするのに対して、与党の税制調査会では、翌年度の税制改正について、具体的な議論が行われます。
ちなみに、今の与党は自由民主党と公明党の連立政権。
そのため、与党の税制調査会と言っても、
- 自由民主党税制調査会
- 公明党税制調査会
の2つに分かれてしまっています 😥
当然、それぞれの意見が食い違う場面が出てくるわけで・・・
与党が2つ以上ある場合、意見調整を行う機関として、与党税制協議会というものが置かれます。
よく、ニュースで「自民・公明両党で調整が難航」と言われているのは、それぞれが税制調査会を立てていて、後から税制協議会ですり合わせをしようとしているからなんですね。
12月中旬-与党の「税制改正大綱」が公表される
自民党と公明党で、せっせとすり合わせが行われ、12月中旬には、与党の税制改正大綱が発表されます。
もちろん、あくまでも与党の大綱ですから、全てが決定事項というわけではありません。
位置づけとしては、「来年度の税制改正の方向性」でしかないのですが・・・
実質的には、与党の「税制改正大綱」が公表されたら、ほぼ確定したも同然となります。
12月下旬-政府が閣議決定して、「税制改正の大綱」が公表される
与党の税制改正大綱が発表された後に、政府の「税制改正の大綱」が発表されます。
が・・・はっきり言って、ほぼ同じ内容です💦
- 政府版では、名称が税制改正「の」大綱に変わる
- 政府版では、「考え方」と「検討事項」の項目がなくなる
- 政府版では、税制改正が与える税収の増減について記載される(国税&地方税)
与党の平成31年度税制改正大綱の目次を見てみましょう。
このような構成になっているのですが、「税制改正の大綱」になると、第一と第三が消えてしまいます。
そして、この改正に伴う税収の増減表(国税&地方税)が添付されます。
国会に出される法案は、内閣提出(閣法)と議員発議(議員立法)の2種類がありますが、税制改正は内閣提出(閣法)により行われています。
法案を提出するには、ちゃんと閣議決定されていないといけません。
なので、与党の税制改正大綱として決めたものについて、改めて閣議決定をしてから、税法の一部を改正する法律案を国会に提出する・・・というステップを踏む必要があります。
「与党がどのような考え方で改正案を決めたか」とか、「今回は見送ったけど今後に向けての補足」とか、決定までの経緯説明はバッサリ削除して、代わりに予算に直結する増減収見込額を添付することで、目的に合った体裁に整えているのだと考えておけばOKです 😉
1月下旬~2月上旬-税制改正法律案が国会に提出される
最初の項目で出てきたように、国税と地方税では担当する省庁が違いますので、
- 財務省-所得税法等の一部を改正する法律案
- 総務省-地方税法等の一部を改正する法律案
というような形で、法律案が国会に出されます。
与党の税制改正大綱が決まった段階で、与党の議員の皆様は賛成をすることが義務付けられています(党議拘束ってやつですね)
なので、よっぽどの造反者が出ない限りは、粛々と成立していく運命です。
与党の税制改正大綱決定後は、言葉は悪いですが、形式を整えるための作業が進んでいくという感じですね。
会社でも、全て段取りが決まっていて、何のためにやっているか分からない会議や手続きってありますよね。
あんな感じだと思っていただければ・・・💦
なんだかんだあったとしても、3月下旬までには法案を成立させて、官報で公表されます。
4月-税制改正関連法案が施行される
原則として、年度はじめの4月1日から、改正法が施行されます。
たまに、経過措置が設けられたり、施行時期が異なる場合もありますので、いつから適用されるかは、しっかり確認した方がいいですね。
まとめ-12月中旬の与党「税制改正大綱」が要注目のワケ
税制改正要望書が提出される前の段階から考えると、1年のほぼ大半は、税制改正関連の動きがある状況なのですね。
新聞やニュースでは、検討段階も含めて、いろんな情報が小出しに出てきます。
さらに、似たようなタイトルのものが何度も出てくると、だんだん何が重要なのか、決定したのか検討段階なのか、よく分からなくなってきます。
全体の流れが見えていると、私たちにとっては、12月中旬に発表される与党の税制改正大綱がカギとなることが分かります。
逆に、それ以前のタイミングで出てきた情報は、まだ検討段階なのかなーってことが、感覚としてつかみやすくなりますね。
ちなみに、FP向けの専門誌で、KINZAIファイナンシャル・プランという月刊誌があるんですが、毎年2月号では税制改正特集が組まれています。
4月になってから知識を仕入れたのでは遅いってことで、2月には税制改正大綱をもとにしたポイント解説が掲載されるんです。
私も毎年、発行を待ち望んでいます 😉
与党の「税制改正大綱」そのものは、とっても長文ですし、全部読み込むのはさすがに大変。
でも、成立した時には、新聞で主な改正項目やポイントとなる事項が取り上げられますので、その記事はしっかり読んでおくといいです。
こちらの記事もあわせてご覧ください。
いったい来年度はどうなるのか、場合によっては数年先にどうなるのかが見えてきますよ!
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