所得控除を理解して、上手に節税しよう!-人的控除編

扶養控除

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しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。

 

会社員の方は、税金が引かれた給料を受け取り、年末調整で税金が戻ってくるとトクした気分になる・・・そんな程度で、あまり税金がどのように計算されているのか? について考える機会はないのではないでしょうか。

 

ですが、税金の仕組みを正しく理解しておくことで、増税の波が自分事になっていることが分かったり、場合によっては上手に節税ができる可能性もあるんです。

さっそく、所得税の計算方法と、上手に節税するためのひと工夫について、一緒に見ていきましょう。

 

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所得控除は何のためにあるのか?

1月から12月までの1年間で得た収入の全てに対して所得税がかかるわけではありません。

収入を得るためにかかった「必要経費」を差し引いた金額を所得と呼んでいます。

 

事業をやっている方の場合、必要経費というものが分かりやすいのですが、企業で働いている方の場合には、なかなか切り分けが難しかったりします。

 

また、給料が同じでも、多くの家族を養っている場合には、家族のために出ていく経費が多いですから「税金を負担できる能力」には違いがありますよね。

 

このように、算出が難しいけど負担が発生しているものや、いろんな事情で支出が多いと思われる方々の税負担を軽くして公平にしましょう! という趣旨で設けられているのが所得控除です。

 

所得控除は、全部で14種類もあります。

実は控除が受けられるのに、上手に活用できていない方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、どんな所得控除があるのか、実は控除が受けられるものがないか、チェックしてみましょう。

 

7種類の人的控除を見てみよう!

全部で14種類ある所得控除ですが、大きく分けると、

  • 人的控除:1人あたりの控除額が決められているもの
  • 物的控除:その年に支払ったお金の内容に応じて決められるもの

の2つに分類されます。

ここでは、そのうちの人的控除について見ていきましょう。

 

基礎控除

だれでも、何も条件もなく受けられる控除のことです。

基礎控除額は、一律38万円です。

 

ただし、平成32年分(平成ではなくなっているでしょうが・・・ 🙁 )からは改正が予定されています。

合計所得金額が2,400万円以下であれば、48万円になるので、10万円upします。

その代わり、他の項目で控除額が減額になりますので、収入が一定額を超える方はトータルで増税になる仕組みです。

~コラム~ 103万円の壁とは?

103万円の壁という言葉は、なんとなく聞いたことがあると思います。
でも、なんで103万円?ということは、知らない方が多いのではないでしょうか。

 

まず、ここで言っているのは「所得税」がかかるかどうかのラインです。
住民税とか、社会保険とかになると、話が変わります。

給与所得者の場合には、「給与控除」という一定額の控除があります。
年間の給与額に応じて控除額が変わるのですが、控除額のスタートラインが65万円です。

 

そのため、給与所得控除65万円+基礎控除38万円=103万円 となり、103万円までは、まるまる控除されるから、所得税がかからないということです。

さらに、以前は配偶者控除が受けられる上限ラインも103万円でしたので、自分の所得税もかからないし、メインの納税者も配偶者控除を受けられるという、とっても重要なラインとして意識されていたのです!

配偶者控除

年間の合計所得金額が38万円以下の配偶者がいる場合、控除が受けられます。

納税者の合計所得が

  • 900万円以下であれば、38万円
  • 900万円超950万円以下であれば、26万円
  • 950万円超1,000万円以下であれば、13万円

というように、段階的に金額が変わります。

ただし、合計所得が1,000万円を超えてしまえば、配偶者控除は受けられなくなります!

 

納税者の合計所得による段階制になったのは、平成30年から

年収が高い専業主婦家庭の方は、今年から手取り収入が減りますので、要注意です。

 

配偶者の所得の考え方を再確認すると、給与収入のみの方の場合、給与所得控除が65万円ありますので、38万円+65万円=103万円以下であれば、条件をクリアします!

Tsubasa
あれ?

なんか、150万円までOKになったとかって聞いたんだけど?

Misaki
これから出てくる「配偶者特別控除」とセットで見ていかないと、150万円までOKの理由がわからないんだよ!

 

配偶者特別控除

配偶者の所得が年間38万円を超えていて、配偶者控除の対象にはならない場合でも、123万円以下であれば、配偶者特別控除を受けることができます。

要は、配偶者控除に当たるものはあるけれど、控除される金額は下がっていきますよ! ということです。

(ややこしいから1つにまとめればいいのに! と思うのは私だけしょうか・・・💦)

 

配偶者の所得金額に応じて段階的に下がっていき、120万円超123万円以下になると、控除額が3万円~1万円(納税者の合計所得により異なる)まで下がってしまいます。

 

つまり、配偶者に関する控除をまとめると、

  1. 納税者の合計所得が1,000万円を超えたら受けられない
  2. 配偶者の合計所得が123万円を超えたら受けられない
  3. 納税者や配偶者の合計所得に応じて、段階的に下がっていく

という仕組みになっているわけですね。

 

名前は配偶者特別控除に変わるけれど、メインの納税者が38万円の控除を受けられるラインとなるのが、配偶者の所得金額が85万円以下の場合です。

 

ここから逆算すると、85万円+給与所得控除65万円=150万円

 

こうして、2018年からは、配偶者(特別)控除がMAXでもらえるラインが、150万円に変わりました! というお話です。

ちょっと分かりにくいですよね 😥 

 

扶養控除

納税者が扶養している家族(子どもや年老いた親など)がいる場合には、扶養控除が受けられます。

ちなみに、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上でないと、扶養控除は受けられません。

0歳から中学卒業までは、児童手当が出ているので、扶養控除は受けられないのです。

 

住民税の場合

住民税では、扶養にしている人の数に応じて、所得が一定額までだと、所得割が非課税になるという取り扱いがあります。

 

市町村によって計算方法は異なるのですが、

  • 扶養0人の場合には、32万円。
  • 扶養1人以上になると、共通の32万円に、35万円×(1+扶養人数)を加えた額

この範囲に所得がおさまると、住民税の所得割が非課税になる・・・というパターンが多いです。

扶養が1人だと、32万円+35万円×(1+1人)=102万円ですね。

 

この非課税枠の判断に使われる扶養の人数には、16歳未満の子も含まれます。

だから年末調整の時には、記入欄を区別して書くようになっているんですね。

 

そのため、16歳未満の子は、給与収入が少ない方の扶養に入れた方が、世帯トータルでは減税になることがあります。

 

ただし、家族手当や児童手当の所得制限など、他の理由でメインの稼ぎ手の扶養にしておいた方がお得な場合もあります。どちらの扶養に入れるかは、慎重に考えた方がいいでしょう!

 

扶養控除金額は、

  • 一般の控除対象扶養親族 38万円
  • 特定扶養親族 63万円
  • 老人扶養親族(同居以外) 48万円
  • 老人扶養親族(同居)58万円

となっています。

特定扶養親族とは、その年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の場合です。

大学に通っているころが一番お金がかかるので、この時期は控除額がupするわけですね。

 

さて、ここで1つ節税情報です。

扶養親族の定義は、実はけっこう広いです。

  • 6親等内の血族
  • 3親等内の姻族

までが対象ですので、おじ・おば、いとこまで対象になります。

この範囲内で、他の方の扶養に入っていなければ、扶養に入れることも可能です。

 

そして、扶養=同居ではありません

同居をしていなくても、生計を一にしていれば扶養に入れられます。

生計を一(いつ)にするとは?
例えば、勤務、修学、療養費等の都合上別居している場合であっても、余暇には起居を共にすることを常例としている場合や、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合には、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

 

なお、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。
 ※国税庁HPより引用

つまり、仕送りをしている親がいる場合には、扶養家族にすることが可能です。

扶養親族は、年間の合計所得が38万円以下であることが条件になっています。

年金を受けている方の場合には、年金額から公的年金控除というものを引き算して、38万円以下であれば対象になります。

 

ほとんど縁のない従妹を扶養に入れるなど、制度の抜け道のような使い方はお薦めしませんが、もし、該当するようなご両親などがいる場合、ご自身の扶養に入れてみるのもいいでしょう。

 

会社の人事部等に、

「扶養家族が変更になったので、書類を出したいんです!」

と言えば、必要書類を教えてくれます。

 

さらに、扶養家族については、会社側でも手当がもらえる可能性がありますよね。

控除+手当で二重のおトクが得られる可能性も出てきます。

 

障害者控除

納税者ご本人・同一生計の配偶者・扶養親族が、所得税法で定められている障害者に当てはまる場合には、障害者控除が受けられます。

こちらは、16歳未満のお子さまであっても、控除の対象になります。

障害者控除は27万円です。

ただし、特別障害者や同居特別障害者に該当する場合は、それぞれ40万円、75万円に控除額があがります。

 

寡婦(寡夫)控除

寡婦控除は、

  • 夫と死別したり、離婚をしていて、扶養親族かお子様がいる方
  • 夫と死別していて、合計所得金額が500万円以下の方

のいずれかに当てはまる場合、寡婦控除が受けられます。

 

一方、寡夫控除は、

合計所得金額が500万円以下で、妻と死別したり、離婚していて、生計を一にするお子さまがいる場合、寡夫控除が受けられます。

 

男性の方が条件が厳しいですね。

所得700万円のシングルマザーは寡婦控除が受けられますが、所得700万円のシングルファーザーは寡夫控除が受けられません。

今のご時世、ちょっと微妙な制度です。そのうち見直されるかもしれません。

 

勤労学生控除

  • 給与所得などの勤労による所得がある
  • 合計所得金額が65万円以下
  • 勤労に基づく所得以外の所得(=FXとか)が10万円以下
  • 大学や高等専門学校、専修学校などの学生

これらの全てに当てはまる場合、勤労学生控除が受けられます。

勤労学生控除額は、27万円です。

勤労学生控除の対象となる学校かどうかは、通学している学校の窓口で確認してみてください。

ちなみに、通信教育課程の大学でも、勤労学生控除が受けられるところがありますよ。

 

まとめ-年末調整の書類は、しっかり調べて記入して、上手に節税をしよう

給与所得者の場合、会社から言われるままに年末調整の書類を出しておけば、こんなことは知らなくても生活はできます。

ですが、ここ数年は所得控除が改正される傾向にあり、特に給与所得者で、少し年収が高めの方にとっては、間違いなく増税の波が訪れてきています。

 

何も知らずにいると、なんとなく手取りが減ったなぁという状態で、ずるずると出費を続けてしまいますので、家計管理上は非常に危険です。

 

一方、所得控除の仕組みをしっかり押さえておけば、改正のニュースにも敏感になりますし、場合によっては上手に節税をすることも可能です。

年末調整の書類は、めんどくさいなぁと適当に済まさずに、どういう意味があるのかを理解しながら、しっかりと記入できるようにしておきたいですね 😉 

 

さあ、次のステップでは、物的控除について見ていきましょう。

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大空みさき
はじめまして、大空みさきです。

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ふつうの会社員だった私が、生命保険の値上がり宣告をきっかけにFPの資格を取って、たどり着いた結論です。

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