しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。
銀行の窓口や保険の販売員、ファイナンシャルプランナーなどから、変額個人年金保険を勧められ、加入を悩んでいる方も多いと思います。
ところで、変額個人年金保険がどういうものなのか、きちんと理解されたうえで検討していますでしょうか?
ひらたく言えば、投資信託+保険という商品なのですが、そこに潜むリスクもありますし、上手に利用しなければソンをしてしまう可能性があります。
中には、よく分からないまま退職金のほとんどを変額個人年金に突っ込んでしまい、後悔しているという事例もあるようです 😐
まずは、変額個人年金保険の特徴と、メリット・デメリットをしっかり理解しましょう。
そのうえで、どうするか判断した方が、後悔せずにすみますよ!
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変額個人年金保険とは?
個人年金保険とは、基本的には自分の老後の生活資金を準備する目的で加入するものです。
死亡したときの保障ではなく、自分が生きているときに備えるためのものだということを押さえていきましょう。
個人年金保険は、年金の受け取り金額によって、
- 定額個人年金 将来受け取る年金額が契約時に決まっている
- 変額個人年金 将来受け取る年金額が投資信託等の運用収益によって変動する
に分類できます。
定額個人年金の特徴
定額個人年金保険は、受け取り金額が決まっているため、元本割れをするリスクはありません。一見、安心できますよね 😉
ですが、保証されているのは「金額」ですので、お金の価値が下がってしまうと、結果としてソンをすることになります。
これをインフレリスクと呼んでいます。
1985年と2015年で比較すると、物価は30年の間で約2倍になっています 😯
さらに、安倍内閣の経済政策「アベノミクス」では、物価上昇率2%を目標に掲げています。
これらを踏まえると、将来の物価上昇は避けて通れないものと考えられますね。
元本割れしない=無リスク商品 というわけではないことは、押さえておきましょう。
変額個人年金保険の特徴
一方の変額個人年金保険は、保険会社に預けたお金が、特別勘定という別のおサイフに移されて、区別された状態で運用されます。
「変額」という名前から誤解されがちですが、私たちが支払う保険料が変わるのではなく、受け取る保険金額が変わる可能性がある商品です。
運用がうまくいけば年金額が増えますし、失敗すれば元本割れを起こす可能性があります。
インフレリスクは軽減できますが、投資であることをしっかり理解し、何に投資されているか、その投資内容が妥当かは、自分でチェックしなければなりません。
つまり、保険というよりは、投資商品としてとらえるべきものだと言えます。
変額個人年金=投資ということは、しっかり頭に入れておいてください!
変額個人年金保険 VS 投資信託
さて、ここまでお読みいただければ、保険じゃなくて投資信託でいいんじゃないの? と思われた鋭い方もいらっしゃると思います。
そこで、変額個人年金保険と投資信託を比較しつつ、メリット・デメリットを見ていきましょう。
変額個人年金保険のメリット
- 保険料が生命保険料控除の対象になる。
- 受け取り方は、一時払いと年金方式が選択可能。
- 信託報酬は、投資信託より少し低めになっている商品がある。
- 運用対象のファンドを乗り換え(=スイッチング)する際に、基本的には手数料がかからない。注)
- 分配金や値上がり益に対する税金がかからないので、複利効果が期待できる。
- 相続の際には、500万円✕相続人の数が、非課税となる。
注)スイッチングが一定の回数を超えると手数料が発生しますが、そんなにしょっちゅう商品の入れ替えを行う必要はないので、実質無料で済みます
変額個人年金保険のデメリット
- 信託報酬などの資産管理手数料の他に、保険関係の手数料がかかる(年1~2%程度)
- 契約から一定期間は、解約時の解約返戻金から最大8%の解約控除が引かれる。
- 年金管理運用費用がかかる(年金額の1%程度)
変額個人年金保険の場合、経過年数が10年以上であれば、元本の110%は保証する・・・というような商品もあります。
その分、保障をするための「保険関連費用」のコストが高くなっています。
メリット部分も、投資信託でカバーができる?
さて、変額個人年金保険のメリットとしてあげたポイントに着目してみましょう。
- 受け取り方は、一時払いと年金方式が選択可能。 →iDeCoも同じ
- 運用対象のファンドを乗り換え(=スイッチング)する際に、基本的には手数料がかからない。 →iDeCoも同じ
- 分配金や値上がり益に対する税金がかからないので、複利効果が期待できる →iDeCo、つみたてNISAも同じ
このように、iDeCoやつみたてNISAでカバーできるメリット部分もあるのです。
一方、とにかく手数料がかかる点は大きなデメリットです。
にも書きましたが、保有コストを下げることは、資産運用のプロではない私たちが、運用利回りを上げるためには最善の方策です。
変額個人年金にした場合、保有コストを上げることにつながりますので、結果として投資信託より不利になると言えるでしょう。
また、解約控除が大きい点も重要で、最低でも10年程度は解約しないで保有しておかないと、元本割れをしてしまいます 🙁
投資信託も、元本保証のないリスク性商品ですから、長期的に運用するのが基本です。
とはいえ、10年未満で解約をすることになった場合でも、プラスになる可能性は十分にありますので、投資信託の方が短期解約時のリスクは低いです。
つまり・・・
基本的には、iDeCoやつみたてNISA(または一般NISA)などを優先的に使った方が間違いありません。
総合すると、変額個人年金は、
- 下方リスクが怖い →投資信託は、どこまで下がるか分からないのが不安。
- 相続も意識したい →遺族年金の受取人が指定でき、非課税枠もあるので、遺産分割対策に使える。
という場合には、検討の対象になってきます。
まとめ
ここまで見てきていただいて分かるとおり、変額個人年金保険は、そもそも自分にあった商品かどうか、見極めることが結構難しいんです。
金融機関側としては、手数料収入が多いので売りたい商品です。
そのため、本当にニーズにあっているのか、しっかりくみ取らずに販売されるケースもあります。
理解できない、メリット・デメリットが腑に落ちないような商品の場合には、手を出さないということも、かしこい選択です。
信頼できる専門家のアドバイスを受けながら、商品選択ができる場合には、候補に入ってくると思いますが、自信がなければ、投資信託、特にiDeCoやつみたてNISAから始めた方が、安心でしょう。
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