しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。
新社会人の皆さまも、仕事を始めてから約3か月。
仕事にも少しずつ慣れてきて、もうすぐもらえるボーナスを楽しみにしているという方も多いのではないでしょうか。
ところで、月々の生活費はどのように管理されていますでしょうか?
まさか、もらった分だけ使っちゃってはいませんでしょうか・・・
新社会人の皆さまは、1つ大事なことを知っておかなければいけません。
それは、初任給の手取り額をベースにして生活費を決めてはいけないということです。
なぜなら、住民税は1年遅れでやってくるから。
2年目の手取り額は下がる前提で生活設計をしなければいけないのです。
そんな、クセが強い住民税。
新社会人はもちろんですが、だれもが知っておくべきポイントについて、まとめてみました。
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所得税は、最初から控除される
住民税の特徴を理解するために、まず所得税の計算方法から確認しておきましょう。
所得税は、その年の1月1日~12月31日の収入をベースに計算されます。
そのため、12月の給料が固まらなければ、納めるべき金額は分かりません。
でも、それだと国としては1年間お金が入ってこないことになりますよね。
それでは困ってしまう・・・ということで、会社員の場合には、毎月の給与所得に応じて、いったん仮の金額で所得税が差し引かれています。
この「仮の金額」は、給与所得の源泉徴収税額表の月額表というもので定められています。
月々のお給料が〇〇円なら、だいたい税金はこれくらいなんじゃない?
そんな感じでとりあえず集められているのです 😎
そして、12月になって、最終的な1年間の所得が確定したら、今まで納めた仮の金額と、本来納めるべき所得税を比較して、納めすぎていたら「還付」され、足りなかったら「納付」します。
どちらのパターンだったとしても、12月の給料からの控除に反映されるので、「還付」パターンに当たった場合には、12月の手取り額が増えるという仕組みです。
若手の方は、だいたい「還付」パターンになります。
12月には年末調整で税金が戻ってくる! と喜んでいる方もいらっしゃいますが、正確には払いすぎた分を回収しているだけです。
給料が増えた気になって、パーっと飲みに行っちゃってはいけませんよ!
住民税は、1年遅れでやってくる
所得税には、手取り収入の感覚を狂わせる落とし穴がありましたが、住民税にはもっと怖い性質があります。
住民税では「仮の金額」方式は取られず、最初から確定額で計算されます。
でも、1年分の所得は確定していないのに、どうやって確定させるのでしょう?
住民税の計算手順を見てみると、
- 前年1月1日~12月31日の、確定した所得額が確定する。
- 個人別に集計して、1月末ごろに会社から市区町村役場へ「給与支払報告書」が送られる。
- 5月ごろに、市区町村役場から会社へ納税額の決定通知書・納付書が送られる。
- 6月から、給与天引きが始まる。
という流れになっています。
つまり、社会人1年生は、2年目の5月までは住民税の納付がありません。
えっ? じゃあ来年からは、いったいいくら引かれるようになるの?
それでは、住民税の計算方法をチェックしておきましょう。
住民税には、所得に応じて課される「所得割」と、所得に関わらず一定額が課される「均等割」があります。
さらに、それぞれ「市区町村民税」と「都道府県民税」に分かれているので、少々ややこしく感じるかもしれません。
住民税の税率は市区町村民税(6%)+都道府県民税(4%)=10%なのですが、均等割額は自治体によって異なります。
ちなみに東京都は、区市町村民税の均等割額が3,500円、都民税の均等割額が1,500円です。
大学卒の社会人1年目の平均年収が約230万円。
仮に年収230万円だったとして、概算8万円くらいの住民税額になります。
月々7,000円程度、給与からの天引き額が増えるイメージですね。
社会人2年目以降の方で、手元に源泉徴収票がある場合には、それほど手間をかけずに概算をシミュレーションをしてみることも可能です。
名古屋市は、住民税のシミュレーションができるサイトを用意してくれていますので、源泉徴収票を見ながら入力してみてください。
自治体による誤差はありますが、大体どれくらいかなぁという目安は計算できますよ。
もう一度言いますが、住民税は1年遅れでやってきます!
このことを知らずに、家賃や固定費の計画を立ててしまうと、赤字の家計になってしまう可能性がありますので、気をつけましょう。
奨学金の返済がある方は、特に注意が必要です! 1年目の手取りで油断して生活設計をしちゃうと、後で大変な目にあうことも。
奨学金の返済が3か月以上滞ってしまうと、ブラックリストに乗ってしまうのです・・・
奨学金だから、支払い遅れても待ってくれるよね~なんて、決して軽い気持ちで滞納してはいけません。
どうしても返済が苦しくなった場合には、必ず早めに日本学生支援機構に相談をしてくださいね。
退職した場合も要注意
住民税は、前年度の所得に応じて決まります。
そのため、2018年3月までは就業していたけれど、2018年4月からは失業中という場合でも、住民税の納税通知書が送られてきます。
このパターンで失業中のままだった場合、
- 2018年4月~5月までの分 →退職時の給与から一括徴収される
- 2018年6月~2019年5月までの分 →2017年1月~12月の給与がベースで計算される
- 2019年6月~2020年5月までの分 →2018年1月~3月の給与がベースで計算される
となりますので、退職時の給与は手取りが減りますし、その後も延々と住民税の支払いが続きます。
ちなみに、退職するタイミングによって、徴収方法には違いがあります。
1.退職日が1月1日~4月30日までの場合
退職月から5月支払い分までが一括徴収される。不足分は自分で追加納付する。
2.退職日が5月1日~5月31日までの場合
残りは5月分のみなので、普通に給与から徴収される。
3.退職日が6月1日~12月31日までの場合
5月支払い分までを一括して徴収を受けるか、自分で納付するか、選択することができる。
いずれにしても、6月支払い分からは、自分で納めないといけなくなります。
会社が給与から天引きして納める方法を「特別徴収」、自分で納める方法を「普通徴収」と呼んでいますが、普通徴収の場合、6月、8月、10月、1月の年4回に分けて支払うことになります。
人生100年時代とまで言われるようになり、老後資金への備えが重要になっています。
これから定年退職を迎える方は、給与水準が下がったとしても、会社の再雇用制度があるなら利用すること、または、自分の強みを生かしてお金を稼げる力を身に付けておくことも大事です。
さらに、今から意識しておけば、シェアリング・エコノミーで、自分のスキルをお金に変えることも可能です!
また、派遣社員として働いている方も注意が必要です。
2015年の派遣法改正により、有期雇用の派遣職員は、個人単位で同じ組織で働けるのが一律で3年になりました。
加えて、2012年の労働契約法改正により、5年以上の有期労働契約を結んだ場合には、無期雇用への転換権が与えられるようになっています。
この労働契約法の改正自体は、派遣社員に限ったことではありませんが、上記の3年ルールと組み合わさって、派遣社員を取り巻く環境は非常に複雑化しています。
今までは、同じ派遣会社で就業先を変えながら在籍し続けることができましたが、今後はその都度契約が途切れるような、厳しい状況におかれる可能性があります。
大手の派遣会社では、形式的には無期雇用を受け入れることとされていますが、実態としては非常に厳しい条件が提示され、無期雇用を選択しにくくなっているケースも見受けられます。(法の趣旨には反するのですが・・・)
また、無期雇用の派遣社員を受け入れる場合、派遣を受け入れる会社が派遣会社へ支払う費用がアップする! なんていう事例もあり、高い費用は払えないから、無期派遣は取らないという会社もあったりします。
このように、一見、雇用の安定化を推進しているようでも、現実には失業のリスクが高まっているとも言えます。
置かれている環境や状況にもよりますので、派遣で働いている方は、正しい情報を収集しましょう。
そして、失業してしまった場合には住民税の納付がついて回ることを理解し、いざという時のためのストックは意識しておくということも大事です。
所得税がゼロでも、住民税がかかることがある
所得税も住民税も、給与所得から「所得控除」を差し引いて計算します。
ですが、この所得控除が、所得税とは微妙に違います。
所得税の「所得控除」については、こちらをチェック
控除額が違うものの例としては、
- 基礎控除・配偶者控除(一般)・扶養控除(一般) →所得税38万円、住民税33万円
- 生命保険料控除 →所得税 最大12万円、住民税 最大7万円
- 地震保険料控除 →所得税 最大5万円、住民税 最大2.5万円
などがあげられます。
住民税の方が、控除額が少ないですね。
控除される金額が少ない=税金の計算対象となる所得が多いということになります。
そのため、所得税は0円になる方であっても、住民税の負担が発生することがあるのです。
ちなみに、所得税が全くかからない年収のラインは103万円。
住民税は、一般的には100万円なのですが、市町村によっては93万円を超えると「均等割」がかかることがあります。
住民税をゼロにしたい場合には、住所がある市区町村の非課税基準をチェックしてくださいね!
住宅ローン控除が全額受けられなくなることもある
住宅ローンを組んでいる方は、住宅ローンの年末借入金残高の1%について、税額控除を受けていると思います。
この税額控除は、まずは所得税から引かれます。そして、所得税から引ききれなかった分は、住民税から控除するというルールになっています。
例えば、住宅ローン控除額22.5万円、所得税19万円の場合、
22.5万円-19万円=3.5万円
となり、3.5万円が、住民税から控除されます。
ですが、住民税からの住宅ローン控除額には上限があり、最大でも13万6,500円となっています。
仮に、2018年に何らかの事情により退職し、所得税が0円となった場合、住宅ローン控除は最大でも13万6,500円しか受けられません。
上記の事例だと、22.5万円-13万6,500円=88,500円分は控除が受けられなくなります。
このように、本来なら受けられた控除が全額受けられなくなってしまうリスクがあるのです。
まとめ
住民税の基礎知識を知らずにいると、いざという時に困ってしまい、日常生活に多大な影響を与える危険性があることがお分かりいただけたと思います。
終身雇用が当たり前だった時代とは異なりますので、特に若い方は、良くも悪くも転職することが当たり前の世の中になってくるでしょう。
転職をする場合には、どうしても職を探している間の時間が生まれますし、起業をした場合にも、事前の準備ができていなければ、すぐには結果が出ないでしょう。
このようなつなぎの期間が発生する可能性や、その時に出ていくお金にはどういうものがあるのか、今はそのタイミングなのか、ということを冷静に考えるためにも、住民税の基礎知識は今のうちにしっかりと身に付けておきましょう。
今の時代、会社に頼りすぎる働き方をしていると、将来自分の首を絞めることにもなりかねません。
若いうちは「人的資本」を高めることが大事です。
お金の知識を身に付けることも、人的資本を高めることにつながりますよ!
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