1級ファイナンシャル・プランニング技能士&宅建士のみさき(@fpmisaki2)です。
平成29年(2017年)に宅地建物取引士資格試験に合格し、取引士証の交付を受けました。
実は、最初から宅建士を取ろうとしていたわけではなく、もともとはFP1級の資格を取得するために勉強をしていたんです。
ところが、FP1級の試験範囲があまりにも膨大で絞り切れないし、業務上の得意分野もない。
このままじゃ落ちるなぁ・・・ということから、得意分野を作るために血迷って宅建士の勉強を始めたという、異色の経歴をたどっています。
そんな、無謀なチャレンジではありましたが、なんとか両方とも合格することができました。
2種類の資格試験を受けたわけですが、宅建士の学習方法は、しっかりと過去問を自分のものにしていくという、王道を行けば大丈夫。
ただ、地道に努力するのがけっこうしんどい💦
実体験を踏まえつつ、宅建士資格取得のために必要となる基礎知識や、私が実際にやってみた勉強法などについて、6回にわたってまとめています。
これから受験をされる方、受験をしようか悩んでいる方の参考になればうれしいです。
この記事では、イントロダクションとして、宅建士の資格は、どんなことに役立つのかという点について考えていきます。
資格があればなんでもプラスに働くわけじゃありませんからね 😉
自分にとって、努力してまで取るべき資格なのか、そこをはっきりさせることがスタートラインです!
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宅建士は、就職や転職に役立つの?
数々の資格を取得している方には、取るための労力と取得後の求人を総合的に考えた時にコスパが良い資格として、宅建士を上げる方が多くいらっしゃいます。
宅建業(不動産業)を営むためには、各事業所ごとに5人に1人以上の割合で宅建士を置くことが義務付けられていますので、不動産業界でのニーズは一定量発生し続けます。
加えて、宅建士試験への申込者の3割程度は、40代~50代の方で占められています。
不動産業界に勤めていて、30代までに宅建士を取得できなかった方が受験している事例もあるでしょうが、転職への切り札とするために資格取得を目指している層が多いと考えられます。
不動産会社によっては、資格手当がついたり昇進の条件となっていることもありますので、転職に限らずメリットがある資格となっています。
近年では、不動産業に限らず、建築関係、金融関係、駐車場経営関係、不動産管理会社などの業界においても、宅建士の資格保有者を重視しているケースがあり、取得が推奨されていますね。
宅建士さえ持っていれば、就職・転職ができるというわけではありませんが、資格を武器の1つとして活用しやすいという点では、取っておいて損はない資格だと思います。
ここで、ちょっと視点を変えてみましょう。
不動産取得は、その方の人生を左右する大きな買い物ですよね。
関連する税務の知識、ライフプランや許容できる住宅ローン額の見極めなど、今後はますますコンサルティングの要素が求められるようになってきます。
そういう意味では、宅建士 ✕ FP(ファイナンシャルプランナー)という組み合わせは、スキルアップを目指すうえで有益です。
宅建士を持っているのが当たり前という環境に身を置く場合には、プラスアルファの知識を身に付けておくことで、さらなるスキルアップにつなげられます。
FPは1つの例ですが、宅建士取得後には、マンション管理士や管理業務主任者、不動産鑑定士など、他の資格をあわせて取得し、差別化を図る方も多いです。
転職以外にも、役立つことはあるの?
職探し以外の目的で、資格取得を目指すパターンもあります。
突然ですが、人生の3大支出は、教育資金・住宅費・老後資金と言われているのはご存知でしょうか?
この中で、一番自分の力でコントロールがしやすいのは、住宅費です。
子どもの教育費は、医学部に進みたいとか、私立大学への進学をしたいとか、子どもが望む未来の形次第の要素がありますし、老後資金は公的年金が将来どうなっているかは分からないので、現在の状況から予測をしながら準備するほかありませんね。
ですが、住宅費については、購入か賃貸か、都心か郊外か、予算をいくらに設定するかなど、自分たちで決められる要素が多いです。
つまり、買うにしろ、借り続けるにしろ、自らの意思で選ぶ「人生で一番高い買い物」になるわけです。
買い時や売り時、資金計画やローンの選び方、物件の選び方など、何も分からない状態で不動産業者とやり取りを進めていけば、実は不利な条件だったとしても分からずに契約を結んでしまう可能性があります。
宅建士の勉強をしておくことで、関連法規の基礎知識や契約書の専門用語を理解し、業者に圧倒されることなく冷静に判断することができるようになり、不利な契約を結ぶリスクを下げることができます。
実は、私が宅建士の勉強をしておこうと思った大きな要因が、この部分でした。
すぐに資格を生かして転職をする予定はないけれど、いざという時には役に立つし、不動産取引の際にはプラスになるだろうというのが狙いです。
勉強していなければ、チャレンジする勇気は出なかったと思います。
メインはFP1級だったので、落ちてもいいや! だめなら翌年再チャレンジしてもいいしね! というプレッシャーのない状態で臨んだのが、結果としてよかったようです。
FP2級もそうなのですが、資格を取得するということは1つの目標にしつつも、生活に役立つ知識を身につける(=自己投資)という目的で勉強してみるのも1つです。
ただし、
法律を学んだことがない方は、慣れるまでは少し苦しむと思います。
なぜなら、問題の文章が、慣れていないと、とっても読みにくいからです 👿
宅建士試験から、取引士証の交付まで
宅建士は、資格試験に受かれば終わりではありません。
そこで、受験から取引士証の交付を受けるまでの流れを把握しておきましょう。
宅地建物取引士資格試験に合格する
試験は年に1回。毎年10月の第3日曜日に行われます。
試験時間は午後1時から3時までの2時間。4択問題で全50問です。
6月上旬に試験日程などが公告(=お知らせ)され、7月に受験申込、11月末ごろ~12月頭ごろに合格発表という流れです。
令和4年度の試験予定スケジュールは、まだ掲載されていませんが、試験日は2022年10月16日(日)になることが予測されます。
試験のスケジュールは、不動産適正取引推進機構のサイトで確認できます。
だいたい同じようなスパンになりますので、参考にしてみてください。
ちなみに、出願は「インターネット利用」がおススメですよ!
試験会場が選べますので 😉
登録実務講習を受けて、合格する
宅地建物取引士資格試験に合格しただけでは、宅建士証の交付が受けられません。
実務経験が2年未満の場合には、それを補うための講習を受けて、合格する必要があります。
逆に言えば、宅地建物取引に関する実務経験が、2年以上あれば、講習を受ける必要はありませんが、多くの方は講習を受けることになるでしょう。
私は、もちろん実務経験ゼロでしたので、いくつかを比較検討したうえで、不動産流通推進センターの登録実務講習を受けました。(残念ながら、今は事業休止中です)。
正直なところ・・・
宅建士の資格試験の勉強よりも、この登録実務講習の方がずっと実用的で面白かったです 😀
一度資格試験に合格してしまえば、合格者としての権利はなくならないので、本当に不動産業に従事するまでは放置しておいて構いません。
ですが、私のように自分が不動産取引をすることになった際の知識固めをしておきたい! という目的をお持ちであれば、登録実務講習を受けておくことをおすすめします。
余談ですが、FP1級の実技試験対策にも、この登録実務講習で学んだことが大活躍しました。
資格登録申請を行う
登録実務講習に合格すると、資格登録申請が行えます。
実際に宅建士資格試験の勉強を始めると学ぶことなのですが、資格登録申請は、資格試験を受けた都道府県の知事に対して行うことになります。
東京都で試験を受けて、神奈川県で資格登録をするということはできません。
登録後の住所変更手続きなど、各種手続きに出向く先となりますので、最初の受験地は、しっかり考えて決めましょう。
仕事のついでで行きやすいとか、当日の利便性だけで決めない方がいい場合があります 😉
資格登録申請自体は、それほど難しいものではありませんが、そろえる書類がいろいろあります。
- 身分証明書(本籍地の市区町村が発行:成年被後見人及び被保佐人でないこと、破産者で復権を得ない者ではないことを証明するもの)
- 登記されていないことの証明書(法務局が発行:成年被後年人及び被保佐人ではないことを証明するもの)
というような、今まであまりお目にかかったことがないような証明書も必要となります。
費用については、後ほどまとめますが、なんと登録手数料が37,000円もかかります!
高すぎますよね・・・💦
取引士証の交付を受ける
資格登録申請をして1~2か月くらいたつと、登録通知のハガキが届きます。
37,000円も支払って、これだけ? と思うようなそっけなさです。
このハガキと顔写真、印鑑を持って手続きをしに行くと、約30分で取引士証が即日交付されます。
宅建士が重要事項の説明をする時には、必ずこの取引士証を提示しなければなりません。
いくら宅建士の資格があっても、取引士証がなければ実務はできません。
忘れちゃいました、無くしちゃいましたは、許されません!
宅建士として実務を行う方は、ここまでの手続きがマストです。
勉強のために取っただけという方は、自分がやりたいところまで進めておけばOKです。
ただし、資格試験合格後1年を経過すると、もう1つ「法定講習」というものを受けなければならなくなります。
ちょっとでも宅建士として働く可能性があるのなら、取引士証の交付まで進めておくといいでしょう。
資格取得にかかる費用
試験勉強のためのテキストや学校に通うための費用は別として、受験料から取引士証の交付まで、必要経費だけでもけっこうかかります。
ざっくりとまとめておくと、
- 資格試験受験料:7,000円
- 登録実務講習受講料:だいたい20,000円程度
- 資格登録手数料:37,000円
- 取引士証交付料:4,500円
添付する証明書、顔写真などもろもろを含めて、約70,000円はかかると思っていてください。
さらに、取引士証は5年に一度更新が必要です。
- 法定講習受講料:11,000円
- 取引士証交付料:4,500円
合計、15,500円が必要になります。
資格全般に言えることですが、資格取得後、維持するためには結構なお金がかかります。
宅建士資格試験に合格したという事実は消えませんので、全く宅建業に従事する予定がない方は、資格試験合格までで放置しておいてもいいでしょう。
実際、登録実務講習に行ったときにお話しした方には、10年以上前に合格していたという方もいらっしゃいました。
負担額を考えると、学生のうちに資格を取った方などは、とりあえず放置しておいてもいいかもしれませんね。
まとめ-資格取得は手段でしかない。何のために使うのか、目的をしっかり確認してから学び始めよう
宅建士は、数ある資格の中では比較的職業上の利用価値が高いものだと思います。
加えて、民法の勉強が必要なので、法律を読むことの「さわり」くらいは学べます。
他の資格を取得する際にも、民法は密接にかかわってきますので、導入編としてはちょうどいいレベルです。
将来への広がりを含めて、学生のうちに取得してしまうのもいい資格だと思います。
ただし、資格取得=就職に有利というわけではありません。
企業の面接では、何のために勉強したのか、そこから何を得られたのかという点がアピールできるかどうかが大事です。
資格があれば有利だと思って脈絡なく取っておいただけだと、逆にマイナスに働くこともあります。この点だけは、誤解しないようにしてくださいね。
実際に学んでみようと思ったら、宅建士資格試験のおすすめ学習教材などは、こちらをチェック!