しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。
今日は、2019年3月11日ですね。
ちょうど8年前の2011年3月11日午後2時46分。
多くの日本人の心に深く突き刺さっている「東日本大震災」がおこりました。
全く同じ書き出しで、昨年の3月11日にも、こちらの記事を書きました。
その際、サンドウィッチマンさんが中心となった支援活動が、継続的に行われていることについてご紹介しました。
もちろん今年も、東北への寄付が継続して行われたというニュースが流れています。
岩手日日新聞社 「学び基金に921万円寄付 サンドウィッチマン 本県へ6回目」
この時期になると、テレビなどでも過去を振り返り、現状を取材するような特集が増えてきますが、サンドウィッチマンさんの活動は、時期を問わずに継続的に行われているという点で、一線を画していますね。
BSフジの「東北魂TV」も引き続き放送されています。
純粋にコント番組としてもおもしろいのですが、ときどき復興応援旅企画として、仙台や熊本の見どころや美味しいものを楽しく紹介していたりもします。
所属事務所グレープカンパニーのサイトでは、東北魂義援金の報告も定期的にあげられています。
こういう報告がしっかりあると、寄付をした場合にも安心ですよね。
そこで、今回は、「寄付」と心の満足について、ちょっと考えてみたいと思います。
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日本には、寄付をする文化がないってホント?
寄付白書2017によると、2016年における日本の個人寄付金額は、7,756億円。
1人当たりの寄付額にすると、27,013円。名目GDP比では0.14%です。
試しにアメリカと比較してみようか。
アメリカの場合には、日本円に換算すると、30兆6,664億円程度となります。
1人当たりの寄付額にすると、125,664円。名目GDP比では1.44%です。
どの角度から見ても、大きく差があるのが分かりますね。
海外との比較という視点から統計データを見る限りでは、日本における寄付文化は根付いていないと言えそうです。
でも、その空気感は少しずつ変わってきているのです。
東日本大震災以降、徐々に寄付文化が広がり始めている
今度は、国内での比較をしてみましょう。
見えてくる景色が変わってきますよ。
2010年は、日本の個人寄付総額は4,874億円でした。
2016年には7,756億円になっていることから、7年間で約1.6倍に増えていることが分かります。
このきっかけの1つとなったのが、東日本大震災だと言われています。
当時は、地震を引き金に津波が発生し、原発事故まで同時に発生してしまったため、現地に行くようなボランティアをすることは、なかなか難しい。
それでも、今できることをしようと考えた方が多く、寄付という形につながっていったのです。
「寄付白書2017」によると、実に68.6%もの人が寄付を実行したそうで、2011年の寄付総額は10,182億円にまで増加しました。
その後は、さすがに2011年と同水準というところまでは行きませんでしたが、寄付額は増加傾向となり、7年後には1.6倍になるほどに至っています。
そういう意味では、今は寄付が日本に根付く過渡期にあると言えるのかもしれません。
寄付にまつわる税制も変化-控除の種類が2パターンに!
気持ちの問題はもちろんですが、寄付にまつわる税制が変わったことも要因の1つだと言えそうです。
特定寄付金の対象となる団体に対して寄付をした場合、税金の控除が受けられます。
- 国や地方公共団体
- 学校法人、社会福祉法人などの特定の団体
- 公益社団法人、公益財団法人
- 特定公益増進法人
- 認定NPO法人
- 政治活動に対する寄附金のうち一定のもの
などが該当します。
認定を受けている団体に寄付をすると、「寄付金の領収書」と「認定を受けているという証明書」を発行してくれますので、それらを添えて確定申告をすれば、税金が還付されます。
この制度自体はもともとあったのですが、
平成23年度に税制改正が行われ、所得控除の他に、税額控除という方法も選択が可能になりました。
所得控除方式の場合
「その年に支出した特定寄附金の合計額-2,000円」が、年間所得から控除されます。
税額控除方式の場合
「その年に支出した特定寄附金の合計額-2,000円」の40%が、その年の所得税から控除されます。
※どちらの方式を取った場合でも、控除できる金額は、その年の総所得金額の40%相当額が限度
計算の順番が変わると、金額にも大きな影響があるのよ。
こういう時は、ケーススタディをするのが一番!
仮に、所得税率が10%の方が、1年間に20万円の寄付をしたとして、比較してみましょう。
A.所得控除方式の場合
20万円-2,000円=19万8,000円
19万8,000円×10%=1万9,800円 が、所得税から減額されます。
B.税額控除方式の場合
20万円-2,000円=19万8,000円
19万8,000円×40%=7万9,200円 が、所得税から減額されます。
な、なんと10%から40%に跳ね上がりましたね!
このように、どちらの方法を取るかで、帰ってくる税金が大きく変わってくるから要注意です。
どちらを選ぶのがいいかは、寄附金の額と課税所得の関係で決まりますので、一概には言えませんが、多くの場合は税額控除を選んだ方がお得です。
とはいえ、きちんと両方のパターンで計算して、どちらが有利かを選ぶのがいいでしょう。
余談ですが、お子様を私立学校に入れた場合、学校から寄付のお願いがやってきませんか?
もちろん強制ではない・・・けれど、寄付しないわけにいかない雰囲気になっていることも💦
その場合には、せめて寄附金控除が使えないか、チェックしてみてくださいね。
姉妹サイトの参考記事
私立学校へ寄付をしていたら要チェック!確定申告しれば、税金が戻ってくるかもしれません
そのほか、お住いの自治体によっては、住民税も控除される場合があります。
地方自治体ごとに条例が定められているので、控除の対象になっていないか、しっかり確認した方がいいですね。
例えば、世田谷区、葛飾区、小金井市・・・などなど、「自治体名+寄附金控除」で検索してみましょう。
自治体のwebサイトを見てみると、対象となる団体の一覧が掲載されていますよ。
それでも寄付文化が根付かないのは、なんでだろう?
寄付時の税制が少し改善されたとは言え、アメリカやカナダに比べれば、寄付に対する税金面での優遇は少ないことに変わりはないです。
これは、お金の流れの考え方に違いがあると言えるでしょう。
日本の場合には、個人がしっかりと税金を納めることで、国が必要なところに予算分配を行う仕組みが基本となっています。
一方、アメリカの場合には、国に入ってくる税金が少ない分、国から市町村やNPO法人への援助は少なくなる。
自分が支援したいところにダイレクトにお金が行くのか、お金の再配分を国に任せるのかの違いです。
もしも、ダイレクトにお金を届けようと思ったら、やはり寄付する相手先が信頼できるかどうか、寄付という行為に対して理解があるかどうかが重要です。
日本で寄付が根付かない要因は、いろいろとありますが、
- 寄付したお金がどのように使われているか分からない
- なんだか偽善っぽい
- 寄付する相手のNPO団体などが信用できない
ということの方が大きいのだろうなと感じています。
サンドウィッチマンさんの東北魂義援金にお金が集まり続けているのは、使途が目に見えていて、信頼感があるからなのだと言えるでしょう。
寄付によって得られる「報酬」とは何か?
そもそも、何かを得られるわけではない(と思われる)、寄付という行為。
それでも一定数の方が行っているのは、なんででしょうね?
何かを達成した時、褒められた時、大好きなものを食べた時など、私たちは嬉しいとか心地いいと感じますよね。
このように、何か欲求が満たされた時、または満たされるとわかったときに活性化して、人に「快感」を与える脳内システムのことを「報酬系」と言います。
この、脳が感じる報酬を大きく分けると、次の4種類に分類されます。
- 感覚的報酬-食欲、性欲、睡眠欲などの本能と密接に結びついたもの
- 物理的報酬-お金やモノを手に入れること
- 社会的報酬-他者から承認されたい、尊敬されたい、信用されたい
- 知性的報酬-研究や読書、勉強、対話などを通じて知的好奇心を満たす
例えば、ずっと欲しいと思っていたブランドの服を手に入れたとしましょう。
これは、もちろん物理的報酬ではあるのですが、同時に「その服、素敵だね!」と他者から褒められるという期待も含まれていたりしませんでしょうか。
ステータスを伴うものや、資産額を増やすという行動には、結果として「自己評価を高めてくれるのではないか」という、社会的報酬の要素も含まれています。
そんなこと、意識はしていませんけどね・・・💦
悠木そのま著「ハーバード流 幸せになる技術」によると、
アメリカのハーバード・ビジネス・スクールのマイケル・J・ノートン氏が、次のような研究を行ったそうです。
- カナダのバンクーバーで、通行人に買い物の指示書と5ドルまたは20ドルが入った封筒を配る。
- 指示書は2種類。金額との組み合わせで合計4パターンを作成し、結果を比較する。
- 指示書1の内容は、その日の5時までに自分へのギフトを買うか、自分のための支出をすること。
- 指示書2の内容は、その日の5時までに他人へのギフトを買うか、チャリティーに寄付すること。
この研究結果がどうなったかというと・・・
- 幸福度への影響は5ドルでも20ドルでも変わらない。
- 他人のために使った人たちの方が、より幸福を感じていた。
自分の欲しいものを買った方が幸福感がありそうなのに、ちょっと意外な気がしませんか?
これを、身近な人との関係性に置き換えてみると、イメージが湧くかもしれません。
友達や恋人、家族のためにちょっとしたプレゼントを用意した。
それを受け取った友達などが、満面の笑みで「わー、嬉しいな♪」と喜んでくれた。
想像してみたら、テンション上がりませんか?
これはもう、喜んでくれたこと自体が、「報酬」なのですよね。
そういう視点に立つと、マイケル・J・ノートン氏の研究結果も頷けるのではないでしょうか。
自分が信じることに対して寄付をすることで、その活動に貢献できていると感じる。
そのこと自体が「報酬」ということになってきますね。
他者のためにする行動ではありますが、結果として自分も恩恵を受けている。
これが寄付の理想のカタチだと言えるでしょう。
寄付というものの考え方に関しては、もう1冊面白い本がありますのでご紹介しておきます。
野崎弘樹著 「社会を変える」お金の使い方-投票としての寄付 投資としての寄付
寄付に対するイメージが大きく変わると思います。
興味がある方は、ぜひ読んでみてくださいね。
まとめー幸せな気持ちになれるお金の使い方は、いろいろあるということ
給料は上がらないし、税金や社会保険料はどんどん高くなるし、生活していくのが大変だ。
もちろん、まずは自分の生活の軸をしっかりと立てることが先決。
無駄な支出がないか、しっかり洗い出し、お金に働いてもらう仕組みを作っていくことが大事です。
そのうえで、気持ちにゆとりが出てきたら、寄付をするというお金の使い方も、選択肢の中に入れてみてもいいのかなと思います。
もしも興味をお持ちになった場合、
思い立った時に寄付をするのもいいですが、各団体が、マンスリーサポートという制度を用意している場合があります。
クレジットカードを登録しておくと、月々1,000円くらいから、継続的に寄付をするなんてことも可能です。
例えば、
- ユニセフ マンスリー・サポート・プログラム
- 国連UNHCR協会 毎月倶楽部
- キーパーソン21 子供支援サポーター(継続寄付)
- 認定NPO法人カタリバ サポーター会員
他にもいろいろありますので、ご自身の価値観にあわせて探してみるといいでしょう。
そして、寄付先を決めるときには、
- きちんと財務状況を公開しているか
- 活動報告は定期的に行われているか
- 認定NPO法人や公益財団法人などの認定を受けているか
- 活動の効果は感じられるか
- 自分自身の価値観とあっているか
という点は、しっかり確認してくださいね。
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