就職活動という戦いを終えて、4月からは新社会人。
学生時代とは全く違う生活スタイルとなることに、期待と不安が入り乱れていることでしょう。
まずは、社内研修や配属された職場で仕事を覚え、社会人としてのマナーを身に付けていく・・・ということになるのでしょうが、もう1つ、とっても大事だけれど、意外と教えてもらえないことがあります。
それは、お金との上手な付き合い方。
もちろん、今までもアルバイトなどで、お小遣いを稼ぐということはしてきたと思います。
でも、自分の収入で生活し、自分の力でお金を管理していくということは、初めての経験になるでしょう。
やみくもに感覚でやってみるよりも、基礎的な知識は身に付けたうえで実践するのが上達の近道。
本当は、会社の福利厚生として、お金の研修があればいいのでしょうが、そういう会社はまだまだ少ない。
いい先輩や上司に巡り合えれば、そんな話をしてくれるかもしれませんが、こればかりは運次第。
ということで、新社会人の課外授業という位置づけで、何回かにわたって「お金の研修」をはじめてみたいと思います。
知っておくとお得な情報はたくさんありますが、いきなり詰め込むとパニックになりますよね💦
少しずつ、知識を仕入れて行きましょう。
第1回目のテーマは、手取り額はどう変わる?
給与が一定だったとしても、天引きされる税金や社会保険料によって、手取り額は大きく変化します。
特に、社会人1年目から2年目は、要注意ポイントが盛りだくさん!
知らずにいると、振り込まれた金額を見て大慌て・・・なんてことになるかもしれません。
さあ、さっそく学んでいきましょう。
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初任給は天引き額がとっても少ない!手取り額ギリギリで生活設計をしたら苦労します
まとまったお金が入ってくるし、しっかりやりくりして海外旅行に行こう!
将来の夢に備えて、貯蓄をするぞぉ
お給料が入ってきたら、あんなことやこんなことをやりたいな。
そう思っていたとしても、いったい自分の手元に入ってくるお金がいくらになるのか、正しく知らなければ計画は狂ってしまいますよね。
会社員の場合、稼いだお給料が、まるまる振り込まれるわけではありません。
社会保険や税金など、納めるべき費用が差し引かれてから、残りが振り込まれます。
これが、いわゆる「手取り額」というものですね。
収入と天引きされる税金などの内訳が書かれているものが、会社から送られてくる「給与明細」です。
いったい自分がどれくらいの税金を払っているのか、金額がどのように変わっていくのか。
意識しているかいないかで、今後のお金への向き合い方は大きく変わります。
振り込まれる「手取り額」だけでなく、給与明細をじっくり眺めて、その内訳を確認するクセを付けておきましょう。
そして、とっても大事なことですが、
社会保険や税金は、それぞれ計算の仕方が違うので、差し引かれ始めるタイミングが異なります。
4月の初任給は、本来よりも手取りが多い
4月の時点では、所得税と雇用保険料だけしか差し引かれません。
所得税は、収入から社会保険料を差し引いた後の金額に対して課税されます。
扶養家族がいなければ、だいたい2%程度になりますね。
もう1つの雇用保険料は収入の0.3%です。
20万円の給与なら、雇用保険料は600円ですので、両方合わせて5,000円いくかどうかというところです。
5月からは、インパクト大の厚生年金&健康保険が引かれ始める
他にも、厚生年金や健康保険料を負担しなければならないのですが、こちらは翌月5月の給与から引かれ始めます。
健康保険の掛金は、会社によって異なりますが、収入の5%程度となります。
一方、厚生年金の掛金は、国で定められていますので一律です。こちらは、収入の9%程度と考えておきましょう。
東京都の「協会けんぽ」に加入している会社だとしたら、
- 健康保険料 9,900円/月
- 厚生年金 18,300円/月
となりますので、5月以降は手取り収入が一気に3万円近く減るということです!
これは、知らずにいるとびっくりする差ですよねぇ。
9月になったら、社会保険料があがるかも
厚生年金と健康保険料は、基本的に4月~6月の給与の平均を用いて算出される「標準報酬月額」というものを使って計算され、9月分から見直しが行われます。
もし、4月~6月にたくさん残業をすることになって、残業手当が多く払われたとしたら、9月からの社会保険料がアップするかもしれないということです。
入社1年目はあまり意識しなくてもいいでしょうが、この考え方は、2年目以降も同じだということは覚えておきましょう。
じゃあ、4月~6月は残業を減らせばいい! と考えがちですが、まずそんなに上手く調整できるものではないですね。
仮に調整できたとしても、多く掛金を支払えば、将来受け取る年金額も増えるので、社会保険料を抑えることが、自分にとってプラスになるとも言い切れないところがあります。
ここは、調整しようとか考えるのではなく、もしも4月~6月の収入が多かったら、9月以降の手取りが減るかもなぁと意識をしておくレベルにとどめておくのがいいですね。
12月には、年末調整で所得税が戻ってくる・・・けれど
所得税は、4月から毎月天引きされますというお話しをしましたが、実は毎月引かれるのは仮の金額なんです。
所得税の仕組み上、1年間の収入合計と、計算上控除される金額が分かって始めて正確な金額を計算することができるようになっています。
正確な金額を徴収しようと思ったら、12月に1年分の納税額を計算して納めることになりますが、
年末になってから、1年分の税金を一括で支払うのは大変でしょう・・・ということで、
会社員の場合には、毎月ちょっと多め(と思われる)金額を天引きしておいて、本来払うべき金額が決まったら、差額分を調整するという方法が取られています。
このちょっと多めの金額は、適当に決めているのではなく、国が基準を定めています。
毎年国税庁が作成する、「源泉徴収税額表」に基づき、仮の金額が天引きされていきます。
12月になって、最終計算をした結果、納めた額が多すぎた場合には、12月に差額が戻ってきますし、逆に不足していた場合には、追加で徴収されちゃいます💦
新社会人の場合には、だいたいお金が戻ってくることが多いので、12月の手取り額が増える傾向にあります。
でも、これは本来払いすぎたお金が戻ってきただけということは頭に入れておきたいですね。
・・・という性質のお金ではないということですね。
税金に関しては、支払う金額をなるべく減らすために、控除の仕組みを理解しておくことがとっても大事です。
知っているか知らないかで、自由に使えるお金が大きく変わってきます。
2年目の6月からは、住民税が引かれるようになる
本来ならば、住民税という税金も天引きされるのですが、これは前年の収入をベースにして計算されるため、1年目には差し引かれません。
社会人2年目の6月からは、住民税も引かれるようになります。
これ、知らないと怖いよね。
大卒の初任給平均が、20万円程度と言われています。
そこから所得税や社会保険料が差し引かれると、1年目の手取り額は17万円程度になります。
これに加えて、2年目からは住民税がかかるということです。
ボーナス込みで年収が240万円程度だった場合、翌年度の月々の住民税は、約7,000円。
2年目の6月以降は、給与からの天引きが7,000円程度増えるわけですね。
一般的に、昇給よりも住民税の負担額の方が多いですから、2年目からは手取り収入が減るという現実が待ち受けているワケです。
これらを踏まえて、総合的に考えると、
ざっくりと、額面給与の8割くらいが手取り収入になると覚えておきましょう。
社会人1年目も、給与の額面の8割が手取りになるという想定で、支出の計画を立てておくといいでしょう。
そうすると、少し手元に残るお金が増えますので、その分は貯蓄に回すイメージです。
初任給を基準にして考えちゃうと、手取りがどんどん減っていく・・・と悲しくなりますが、どちらかと言うと、1年目の給与は、税金や社会保険料の支払いが免除されている状態だということです。
実はお金の面で恵まれている社会人1年目のうちは、しっかり貯蓄する体質をつくるチャンスの年だということを、心得ておきたいですね。
まとめ-お金の流れを知っているかどうかは、大きな差となってくる
初任給をもらってから、手取りがどのように変化していくか、イメージがつかめましたでしょうか?
何も知らずに、振り込まれたお金の範囲内で家賃を決めたり、大きくお金を使ってしまうと、貯蓄をすることができなくなります。
奨学金の返済がはじまる方は、下手をすれば返済が滞ってしまうかもしれませんね。
日本学生支援機構の奨学金は、金利は非常に低く設定されていますが、扱いは借金と同じです。
なんの手続きもせずに、返済が滞ってしまうと、3か月でブラックリスト入りをしてしまいます。
その後の住宅ローン審査などに大きな影響を及ぼすこととなるので、絶対に気軽に滞納をしてはいけません。
詳しくは、こちらの記事もごらんくださいね。
一般的に、貯蓄額の目安は、手取り額の2割を目標にするとよいと言われています。
とはいえ、社会人1年目は、スーツや名刺入れ、印鑑など、準備しなければならないものも多く、なかなか難しい場合もあるでしょう。
実家暮らしか、一人暮らしかでも、大きく状況は変わりますしね。
仮に2割が難しかったとしても、計画的にお金を使い、少しでも貯蓄をするという習慣は、1年目から付けておくといいでしょう。
将来の目標のための貯蓄、今の自分を豊かにするための支出。
これらのバランスを考えながら、お金を貯めたり使ったりする。
ぜひ、今のうちから、この意識を持っておいていただきたいと思います。
第2回は、銀行口座の使い方。
上手に銀行を使い分けることで、すっきりと貯まりやすく、使いやすい仕組みが作れますよ!
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