しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。
つみたてNISAが始まったことにより、低コストのインデックスファンドに投資するという投資法は、広がりを見せつつあります。
最近始めたという方や、これから始めようかなぁと考えている方は多いのではないでしょうか。
インデックス投資の始め方については、ちょっと調べれば見つけることができますし、しっかりまとまっている良書も多く出ています。
これらの本には、きちんと終わらせ方のことも触れられていますが、意外と終わらせ方についての情報を探すことは大変です。
いったい、なぜでしょうか?
日本では、インデックス投資が広まる環境がなかったため、欧米ではスタンダードな投資手法であるにも関わらず、本当に長期に渡って実践されている方が少ないというのが現実です。
お手本にしたくなる、実体験をふまえた情報が見つけにくいのは、そんな理由です 😥
情報量が少なかったとしても、今からちゃんと先々のことを見据えておくことは、とても大事です。
終わらせ方を見つけるうえで、大事なことは何なのか? 今のうちから考えておきましょう。
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投資信託で、売値のコントロールをしようと思ってはいけない!
まずは、投資信託の売買について、きちんと理解しておくことが大事です。
投資信託(ETFは除く)の場合、1日1回、基準価額が定められています。
でも、株価って、同じ日でも時間によって上がったり下がったりしますよね。
いったいどうやって基準価額を決めているのでしょうか?
売買の時点では、本当の基準価額は分からない
例えば、日本の債券や株式に投資する投資信託の場合、基準価額はその日の夕方~夜頃に決まります。
市場が終わった後に、あれこれ計算したうえで決定するわけですね!
そんなわけで、社団法人投資信託協会のサイトなどで私たちが基準価額を見ることができるのは、夜10時過ぎになってしまうのです 😯
さあ、投資信託を売ろう! と思った時に見ている基準価額は、実は前日に売り買いした場合のものなんです。
なので、実際にいくらで売れるかは、売り注文を出した段階では分かりません。
海外の株式や債券に投資している場合には、翌営業日の朝の為替レートが適用されるので、さらに1日以上のタイムラグがあります。
基準価額を指定した、指値の売買はできない
投資信託を売買する際には、口数または金額を指定することはできます。
10万円分売ります! という指定はできますが、成立時の基準価額が1口いくらの状態になっているかは、時の運です。
株取引の場合、「指値」と言って、金額を指定して売買のタイミングを待つ方法がありますよね。
その感覚しか持っていない方は、暴落し始めた時に、1円でも高いうちに売りたい! と、大慌てをして証券会社へ連絡し、なぜ売れないのかと文句を言うそうです 😥
時間を味方につけて、暴落に淡々と耐えられるかどうかが、インデックス投資を成功させるカギだということは、この点からもお分かりいただけると思います。
暴落時は、未来に向けたチャンスだと信じて、感情を捨てて機械的に積み立てましょう!
そして、しっかりとリバランスをしていきましょう!
投資信託の売買が成立するまで
投資信託は、注文してすぐに売買ができるわけではなく、申込日、約定日、受渡日という3つのステップを経て売買が成立します。
申し込みをして、売買注文が確定する日のことを、約定日と呼んでいます。
- 国内が投資対象の場合には、基本的に申込日=約定日です。
- 海外が投資対象の場合には、日本市場と海外市場の時差や、為替レートの影響を受けますので、約定日が申込日の翌日以降にずれ込みます。
そして、この約定日の基準価額が適用されることになります。
約定すると、2~3営業日後に、売買代金の受け渡しが行われることが一般的です。
ですので、明日使いたい! という売却の仕方はできません。
この点は、しっかり理解しておいてくださいね。
ちなみに、NISAの非課税枠は、「受渡日」を基準にして計算されます。
上限枠ぎりぎりまで使うことをお考えの場合には、12月後半の買い付けのタイミングを間違えないようにしましょう!
これらの理由により、いくらで売れるかを正確に把握したうえで売買をすることは不可能です。
積立で買っているときは、あまり気にならないことだと思いますが、売却となると目の色を変えがちです。
リバランス以外の目的で、使うために売る場合には、細かい損得にこだわりすぎず、ゆるやかな気持ちで売却に臨むことが大事です。
資産配分を見直すことが、終わらせることにつながって行く
インデックス投資の最大のカギは、資産配分(アセットアロケーション)です。
資産配分が大きく崩れていないか、年に1回くらい様子を見て、リバランスをするのが大事でしたよね。
この資産配分は、一度決めたら一生そのまま! というわけではなく、年代に応じて見直していくことが望ましいです。
若いうちは、相場が上がるのを待つための時間がたくさん残されていますが、年を重ねて行けば、待てる時間が短くなるわけです。
そのため、リスクが高い資産の比率を下げて、リスクが低い資産の比率を上げるという調整が必要になってきます。
30代から40代になったとき、40代から50代になったときなど、10年に一度を目安に、資産配分を見直していきましょう。
リスクが低い資産の比率を高めていくということは、海外への投資分を一部売却して、預金や債券を増やすことにつながります。
バランスを見直すという手法により、結果としてリスク資産が減っていき、感情に流されずに終わりに向かって行くことができるわけです。
続ける場合にも、終わりに向かう場合にも、とにもかくにも資産配分が大事です!
当面の自分年金として活用し、70歳からの公的年金受給額アップにつなげる
今後制度が変わらなければ・・・という条件は付きますが、老齢年金は65歳から受給することができます。
ただし、65歳より早めたり、遅くすることが選択可能となっています。
早めにもらい始めることを「繰り上げ受給」と言いますが、この場合、亡くなるまでにもらえる期間が長くなりますよね。
そのため、繰り上げた月数✕0.5%分、年金が減額されます。
最大で60歳まで繰り上げることができるのですが、60歳からもらうと、12か月✕5年✕0.5%=30%分、年金受給額が減ります。
逆に、もらうのを遅くすることを「繰り下げ受給」と言います。
もらえる期間は短くなるわけですから、この場合には、繰り下げた月数✕0.7%分、年金が増額されます。
最大で70歳まで繰り下げることができますので、70歳からもらうと、12か月✕5年✕0.7%=42%分、年金受給額が増えるのです。
42%も年金が増えるって、めちゃくちゃ大きいですよね 😉
インデックス投資で積みあがってる資産額にもよりますし、どこまで繰り下げるのが得かは、計算して比較してから選択したいところです。
公的年金受給のタイミングを遅らせるための「自分年金」として、定額を取り崩すという使い方もあるということは、頭に入れておくといいでしょう。
手元の資産が、ただただ減り続けるだけというのは、(どれだけ蓄えがあったとしても)けっこう不安なものです。
死ぬまで一定額が安定的に入ってくるという状況は、精神安定剤としての効果をもたらします。
ただ、今後の公的年金がどのようになっていくかは、未知数です。
50歳を超えたあたりからは、公的年金にまつわる情報をしっかり収集しておき、よりよい選択ができるように備えましょう。
終わらせ方よりも、つなぎ方を考えておこう!
結局、売り時は「お金が必要になったとき」だと言えます。
別に、一気に終わらせる必要もなく、必要なときに必要な分だけ売ればいい。
積立で買っているときにも、タイミングは気にしていないわけですから、売るときだって一緒です。
さらに、長期インデックス投資をきちんと実践し続けて老後を迎えるような方は、資産配分を見直して規模は縮小したとしても、インデックス投資を続けている姿が想像されます 😎
そうなってくると、考えなければならないのは、相続のこと。
そもそも、遺産の中に投資信託が含まれていた場合は、必ず売却して分割しなければならないのでしょうか?
いえいえ、そんなことはありません。
遺産分割協議書または遺言書があれば、残高証明書の発行を受けて、「名義変更」の手続きを行うことができます。
インデックス投資のバトンを、そのまま次世代につないでいくことができるのです。
不動産とは違って、分割もしやすい資産ですし、その後売却するか持ち続けるかも、相続人が自由に選択できますので、相続争いを回避しやすいタイプの資産でもあります。
相続財産の大部分が自宅というパターンは、なかなか分割が難しいです・・・
投資信託の相続をした場合の相続税の考え方や、相続した投資信託を売却したときの課税の考え方などは、こちらをチェック
受け継ぎやすい資産だとは言え、ある程度の整理(=終活)はしておきたいところです。
長期的に投資をしていると、知識もついてきて、インデックス投資以外にも投資の幅を広げているかもしれませんね。
ご自身で選んだアクティブファンドや海外ETFなどが保有資産に混ざっている場合には、資産配分を整理するとともに、シンプルなインデックスファンドにシフトしておくと、相続人が分けやすくなります。
そして、何よりも大事なことは、バトンを受ける人たちに、投資に関する知識もバトンパスしておくことです。
全く投資経験がない状態で、投資信託の相続をすることになった場合、何をしたらいいのか、どのように判断したらいいのか分からなくなってしまう可能性が高いです。
その結果、証券会社や銀行などに頼ることになり、せっかくのファンドたちを生かしきれずに売却することになってしまうでしょう。それではもったいないですね・・・
- 配偶者は投資に興味がないから、自分だけでやっている。
- 子供たちには、投資教育はしていない。
これらに当てはまる場合には、できるだけご家族にも興味を持ってもらい、家族全体でマネーリテラシーを高めておくことが大事です。
終活の段階になって、慌てて伝えてもなかなか理解されません。
資産だけでなく、知識の積み上げも、時間を味方につける必要があります。少しでも早い段階から、一緒に投資に向き合う関係性を作っておきましょう。
そして、これこそが、上手な終わらせ方をするために、一番早い段階でやっておくべき準備なのだと思います。
こちらの記事でも触れましたが、子どものうちから「自分のお金で」積立投資にチャレンジさせてみることもおススメですよ。
まとめ
インデックス投資を続けることで得られる本当の財産は、「マネーリテラシーがあがること」なのだと思っています。
せっかく得られた財産を、独り占めすることになったら、もったいないですよね。
家族で共有し、一緒に学んでいくことができれば、インデックス投資を「終わらせない」という新たな道が開けてきます。
今までは、家族に財産を残すために、「一戸建てを買って、不動産を受け継いでいく」という発想に立つことが多かったと思います。
ですが、今ではライフスタイルも変わってきており、良かれと思って買った実家が、次世代の重荷になってしまう・・・という悪循環も生まれています。
これからは、「長期投資で積み上げたファンドと知識を受け継いでいく」というバトンの渡し方も、視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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