しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。
相続税評価額を確認し、相続財産と基礎控除額を計算してみたら、どうやら相続税がかかりそう。
しかも、ほとんど土地と建物だから、納税する現金の持ち合わせがない!
このようなお悩みを抱える方が増えてきています。
最近は都市部の地価が上がってきていますし、平成27年以降は相続税の基礎控除が引き下げられてしまいました。
特に都市部に一戸建てをお持ちの方は、油断をしていると相続が起こった際に大慌てをすることになりかねません。
そんな時、生命保険を上手に使うと、対策が立てられることがあるのはご存知でしょうか?
ここでは、生命保険が持っている相続税対策に効く3つの効果について、ご紹介します。
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評価額が下げられる!
3,000万円+(600万円✕法定相続人)で計算する、基礎控除がありますが、これとは別に、死亡保険金を受け取った場合限定の非課税枠というものがあります。
計算式はシンプルで、500万円✕法定相続人です。
配偶者と子2人が法定相続人の場合、1,500万円までは非課税となります。
現金で持っている手持ち資産を、生命保険の掛金として一度支払い、相続の際には保険金として受け取れば、1,500万円の非課税枠を使うことができるわけです。
この評価減は、配偶者がいないタイプの相続のときには、特に有効です。
配偶者には、遺産額が法定相続分または1億6,000万円までのどちらか多い方の金額までは相続税が非課税になるという、圧倒的に有利なルールがあります。
子どもだけが相続人となる場合には、この恩恵が受けられませんので、その他の非課税枠が利用できるのがとってもありがたいのです。
お金に名前が付けられるので、遺産分割対策になる
明確な遺言書がのこされていたり、相続人の意見が一致したりして、スムーズに遺産分割が進められるのであれば、何も問題はありません。
ですが、実際には遺産分割の話し合いに時間がかかったり、なかなかまとまらないケースの方が多いです。
特に、相続財産が不動産メインの場合には、そもそも分割が難しいので、話がまとまらない可能性が高くなってきます。
相続人全員の同意による遺産分割協議が整わないと、いくら預金があったとしても引き出して使うことができません。納税のためだとしても、例外扱いにはなりません 😥
ところが、生命保険の場合には、保険金の受取人を指定することができるという特徴があります。
例えば、法定相続人が子3人の場合で、長女が受取人となる1,500万円の生命保険を契約していたとしましょう。
この場合、死亡保険金は受取人の固有の財産と認められますので、長女はすぐに1,500万円を受け取ることができます。遺産分割協議を待つ必要はありません。
500万円✕法定相続人の非課税枠は、総額で計算しますので、この事例のように一部の法定相続人が500万円より多く受け取っていたとしても問題ありません。
保険金の場合、お金に名前を付けた形で渡すことができるのが重要なポイントです。
長女が老後の面倒をよく見てくれたから、他の子よりも多く遺産を残したい!と考えた場合、保険金の受取金額が多い保険契約を結んでおく・・・という調整により、自分の意思に基づく遺産配分を行うこともできるのです。
ちなみに、生命保険の死亡保険金は、相続放棄をした方であっても受け取ることが可能です。その場合には、500万円✕法定相続人の非課税枠の適用を受けることはできませんので、注意しましょう。
納税資金に充てることができる
生命保険を活用して得られるメリットとして、一番重要なポイントです。
相続が発生した日(=被相続人が亡くなった日)から10か月以内に、相続税の申告と納付を現金一括払いで行わなければなりません。
相続財産が土地だろうが建物だろうが、現金で支払わなければならないのです。
相続税額が思いのほか多いものの、手元には不動産しかないという場合、不動産を売却して納税資金を作る、借入金で対応する・・・などの選択肢を取らざるを得なくなる場合があります。
ところが、生命保険の死亡保険金なら、書類をきちんと準備すれば、通常1週間程度で受け取ることが可能なのです 😉
納税資金が間違いなく確保ができますし、不動産を受け継いだ相続人が、他の相続人の取り分に相当する金額を支払う「代償分割」にも対応できることから、活用の幅も広がるという特徴もあります。
生命保険を活用するには?
根本的な問題として、生命保険への加入ができるか?という点があります。
相続税対策として活用しようとした場合には、ある程度年齢を重ねてからの加入となるでしょう。
健康状態によっては、加入ができなかったり、保険料が割高になってしまう場合もありますので、しっかり確認しながら決めましょう。
死亡保険金にかかる税金の種類
保険料の支払者/被保険者/保険金受取人の関係性によって、税金の種類が変わってきます。
相続税になるパターンは、
- 保険料の支払者=被相続人
- 被保険者=被相続人
- 保険金受取人=配偶者や子
という組み合わせです。要は、自分が死亡したときに備えて、自分で保険料を支払い、誰かに残すという方法であれば、相続税の対象となります。
保険の種類をどうするか?
生命保険の種類は、大きく分けると3種類あります。
- 定期保険:一定期間内に死亡した場合に、死亡保険金が支払われます
- 終身保険:解約をしない限り、死亡あるいは高度障害状態になった場合の保険金支払いが、一生涯保障されます
- 養老保険:満期の時点で、死亡保証金と同額の満期保険金が支払われます
相続はいつ発生するか分かりませんので、一生涯の保障がある「終身保険」を活用するのがベストです。
保険金の支払い方法は、
- 月額(または年額)保険料を支払う
- 一時払い終身保険を利用する
があります。
一時払い終身保険は、健康状態などの告知がとても簡単ですみますし、場合によっては告知不要なものもあります。
高齢者でも加入することができる場合が多いため、相続対策としては向いています。
500万円~1,000万円程度のまとまった金額を、一括して払い込める余裕がある場合には有効なのですが、老後の生活資金が不足してしまっては元も子もありませんので、資産のバランスを見ながら判断する必要があります。
余談ですが、一時払い終身保険は、退職金が入った時に「貯蓄のまま置いておくより利回りがいい」という理由で勧められるケースがあるようです。
ですが、契約後数年間は中途解約すると元本割れを起こしますし、将来の解約返戻金額が固定されますので、インフレや低金利に弱いという特徴があります。
モノの値段が上がっているのに、上昇率よりも低い金額しか増えなかったら、結果として資産は目減りしていると言えますよね。
同じ保険商品でも、使い方や目的によって異なる側面があることは意識しながら、加入するかどうか判断しましょう。
おわりに
生命保険は、子どもが小さいうちに自分が他界した場合の備えとして加入するというのが一般的なイメージだと思います。
ですが、その特性を利用して、相続税対策、特に納税資金対策として活用することができることは知っておくといいでしょう。
保険のかけすぎはもったいないですが、必要に応じて上手に活用できれば、強い味方になってくれます。
ただし、商品選びは慎重に。
勧められるままに決めてしまうことがないように気をつけましょうね。
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