スーツ代は必要経費になるってホント? 給与所得の計算方法とは

ビジネスマン

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しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。

 

所得税を計算するときには、全ての収入から収入を得るためにかかった必要経費を差し引いた金額である所得というものが、税計算の対象となります。

 

その所得から差し引かれるものが所得控除

つまり、所得控除を増やすことができれば節税につながるわけですから、所得控除の種類や節税方法について知っておくことは大事です。

 

では、そもそも所得はどうやって計算されているのでしょう?

個人事業主の方の場合にはイメージがしやすいですが、会社員の「必要経費」とは何なのか・・・謎ですよね 😕 

 

テレビや雑誌などで、サラリーマンのスーツ代が必要経費になる! という情報を見聞きしたことがある方もいらっしゃると思います。

 

これって間違いじゃないんですけど、いろいろと条件があるので現実的には厳しいです。

給与所得って、いったいどのように計算されているのか、給与所得を賢く引き下げるための方法はあるのかということについて、考えていきたいと思います。

 

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給与所得控除は、何のために生まれたの?

給与所得者の人数は膨大です。

この人たちが、全員実際の金額で収支内訳書が作れるようにルール化し、申告を求めた場合、税務署側でのチェック作業は膨大になりますし、問い合わせへの対応も含めて手が回らなくなります。

 

さらに、「どこまでが必要経費か?」の判断があいまいになって、税負担が不公平になってしまう恐れもありますね。

そこで一律で簡易的に計算ができるように、給与収入に応じた必要経費の計算方法を決めてしまう、給与所得控除というものが使われています。

 

控除という言葉が出てきますので、所得控除とごちゃごちゃになりがちですが、給与所得控除は会社員の必要経費を表していると思っておいてください。

 

給与所得控除の金額は、一般的な会社員が、実際にかかった経費をぜーんぶ拾い集めて集計した場合に比べると、大きい金額となるように設定されています。

会社が毎月税金を源泉徴収して早期に税金を納めますので、確実かつ早い段階で税金を回収することができる分、少し優遇されているとも言われています。

 

給与所得控除の計算方法

給与所得控除は、年収に応じて一律の計算式があります。

深夜労働が多かろうが、つらい肉体労働だろうが、お仕事の内容は一切関係ありません

 

収入180万円以下

収入金額✕40%(65万円に満たない場合には、65万円

収入180万円超 360万円以下

収入金額✕30%18万円

収入360万円超 660万円以下

収入金額✕20%54万円

収入660万円超 1,000万円以下

収入金額✕10%120万円

収入1,000万円超

220万円

 

となります。

 

年収500万円の方であれば、

500万円✕20%+54万円=154万円

が所得控除となるわけですね!

 

つまり、500万円-154万円=346万円給与所得です。

この346万円から、所得控除をあれこれ差し引いて、課税対象を算出します。

 

最低限65万円の所得控除は保証されますので、

給与所得控除65万円+基礎控除38万円=103万円

までは、所得税がかからないのです!

よく聞く103万円の壁の根拠はこれですね。

 

一方、収入が1,000万円を超えると、控除額は頭打ちになります。

稼げば稼ぐほど、増税が重くのしかかります 😡

 

今は、高収入の会社員は増税のターゲットになっています。

平成24年以前は、給与所得控除の計算式に上限額の設定はありませんでしたし、その後も段階的に上限額が引き下げられています。

会社で必死に働いて出世して、夢の1,000万円台に到達しても、税負担が重くなるというのでは、夢も希望もなくなりますね・・・

 

この給与所得控除の上限額を引き下げる方式は、税金が取りやすいし、世論の反発も少ないし、とってもやりやすい方法なので、今後も静かに改訂され続けることでしょう。

 

年収1,000万円~900万円くらいの方々は特に、気が付いたら手取りが減っていたというパターンに注意が必要です。

一度上げてしまった生活レベルを落とすのは難しいですから、税制改正の動きはしっかり情報収集して、早めに支出の見直しを行いましょう。

 

たくさん必要経費がかかっても、全く考慮されないの?

給与所得控除は、とにかく一律計算です。個別の事情などは一切考慮されません。

ですが、単身赴任を余儀なくされ、あれこれと経費がかかってしまうなんていうパターンもあり得ますよね。

 

そこで、6つの特定支出を合計した結果、給与所得控除額の1/2を超えた場合には、確定申告をすれば、超えた分を所得金額から差し引くことができるという制度があります。

これを、特定支出控除と呼んでいます。

 

6つの特定支出とは、

  1. 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
  2. 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
  3. 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)
  4. 職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)
  5. 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)
  6. 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)

(1) 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
(2) 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
(3) 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)

のことです。

 

先ほどの、年収500万円の方の例で言えば、

給与所得控除154万円✕1/2=77万円

を超えた分が所得控除となります。

 

6つの特定支出の合計が80万円あったとして、80万円-77万円=3万円が控除されるだけなのです 😥

スーツが必要経費として認められる!と言われる理由は、6-(2)です・・・が、スーツ購入費だけでは65万円の上限がありますので、77万円には届きませんし、そもそもどんだけスーツ買ってるんだって話ですよね。

 

スーツ単体で条件を満たすことは難しいですから、認められる可能性もあるというくらいの表現にしておいた方がいいレベルの内容です。

 

それなのに、ちょっと煽りすぎかなぁと思う記事やテレビの情報番組などを見かけることが多々あります 😕 

さらに、領収書さえ集めればOKというわけではなく、「給与の支払者の証明」を受けなければなりません。間違いなく必要経費です! という証明です。

 

この点もちょっとハードルが高いです。

いくら、会社のふところが痛まないとは言っても、証明をするとなると、それなりの根拠が必要になりますからね。

 

つまり、毎年のように特定支出控除を受け続けることは難しいでしょうが、

  • 転勤を命じられた時
  • 単身赴任で、帰宅旅費がかさむとき(海外勤務など)
  • 弁護士、公認会計士、税理士などの取得費用がかかる資格を業務のために取得するとき

などの条件に当てはまる場合には、控除の対象となる可能性が高くなってきますので、しっかり活用してみてください。

 

まとめ

給与所得者は、会社が税金を計算してくれるため、税の知識にはうとくなりがちです。

ですが、高所得の会社員にとっては特に、増税の波が目立たずじわじわと押し寄せてきているのが現実です。

給与所得控除での節税は、ごく限られた方にしか利用できませんが、増税につながる情報をしっかりキャッチし、支出削減対策を立てるためにも、給与所得控除の仕組みを理解しておくことはとっても大切ですよ!

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