突然ですが、信用金庫って使っていますか?
あなたの街にも必ずある信用金庫。でも特に意識していないし、そもそもよく分からない 😐
そんな方って、けっこう多いのではないでしょうか。
正直なところ・・・ネットで何でもできちゃう人からすれば、信用金庫とのやりとりは、ちょっと手続き的にめんどくさいなぁと思う場面もあります。
それでも、同じ地域に長い間住み続けることができるなら、しっかり関係性をつくっておくことで得られるメリットがいろいろあるんです。
特に、小さな事業者やこれから起業を考えている方にとっては、融資を受けるにあたって心強い味方になります。
ひとつの会社に、ずーっと勤め続けるとは限らないご時世だからこそ、今は会社勤めをしていても、信用金庫で個人の信用を積み上げておくのも一つです。
どんなもんだか、ちょっとは気になってきましたか?
信用金庫と銀行は、いったい何が違うのか、どんな特徴があるのか、一緒に見てみましょう。
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信用金庫は、相互扶助を目的とした非営利団体。銀行とは、全く違う存在です。
信用金庫でも銀行でも、代表的な3業務が「預金」「融資」「為替」であることは同じです。
でも、その根拠となる法律や、目的は全然違います。
銀行は、「銀行法」という法律に基づいて設立されている金融機関。
株式会社ですので、当然株主の利益が優先される、いわば営利団体です。
一方の信用金庫は、「信用金庫法」という法律に基づいて設立されています。
地域の方々が、利用者(会員)になって、地域の繁栄をはかるために助け合うことを目的とした非営利団体。
そのため、信用金庫の営業地域は一定の範囲に限られていて、預かり資金は地域社会(=会員)の利益のために生かされるという、大きな特徴があります。
- 銀行の使命は、融資をしてお金を循環させることで、経済活動の根幹を担うこと。
- 信用金庫の使命は、大手があまり相手をしない中小企業や個人の資金ニーズを満たして、地域を活性化させ、貯蓄の増強に資すること。
どちらも大事な役割です。
だからこそ、両方の特徴を知って、上手に利用していくのがよさそうな気がしてきましたね。
信用金庫の会員になるには、出資金が必要。配当も出るよ!
さて、信用金庫は「地域の繁栄」が目的ですので、誰でもそのサービスをフル活用できるわけではありません。
預金をするだけなら、特に制限がありませんが、融資を受ける場合には、対象者が限られます。
- 営業地域に住んでいること
- 営業地域で働いていること
- 営業地域に従業員300人以下で資本金9億円以下の事業所を構えている
この3つのどれかに当てはまっている必要があるんです。
そして、この条件を満たしていれば、信用金庫に「出資」をして会員になることで、融資を受けられるようになります。
(信用金庫によっては、会員にならなくても利用できるローンも取り扱っている場合があります。)
ムリムリ。そんなお金はない💦
大学生の時に、生協に入って卒業したら帰ってきたお金があったでしょ。あんな感じだよ。
生協の宅配とか、大学生協を使ったことがある方なら、入会の時に数千円くらいの出資金を支払って、脱退したら戻ってくるよ~って説明を受けたことを覚えていませんでしょうか?
感覚としては、それと一緒です。
信用金庫ごとに異なりますが、出資金は、1口=500円 または 1口=50円と設定されているのが一般的。
目玉が飛び出るような高額を要求されることはありません。
最低ラインが1万円で、上限が10万円に設定されていて、その範囲内で出資額を決められるのが一般的です。
(なかには、上限が決まっていない信用金庫もあります。)
そして、これが大きな特徴なのですが、
私たち自身が出資しているのですから、もし信用金庫に利益が出たら、配当金として分配されます。
この配当利率、銀行の預金に比べたら、なかなか高めなんですよ 😉
信用金庫によりますが、だいたい年率3%~5%が多いようです。
もちろん、配当金なので、絶対に出るという保証はありませんし、何%もらえるかはその時の状況によります。
お住いの近くの信用金庫が、どの程度の配当金を出しているのか興味津々!
そんな方は、信用金庫が出しているディスクロージャーを見てみましょう。
ちょっと探しにくいかもしれませんが、剰余金処分計算書というものが載っていて、そこを見れば分かります!
試しに、城南信用金庫のディスクロージャーを一緒に見てみましょう。
上記リンクから、2020年のディスクロージャー誌計数資料編を、eBookで開いてみてください。
eBookで34ページ目(冊子の通しページとしては31ページ)を見ると、剰余金処分計算書という項目が出てきます。
2018年度と2019年度の2か年分が載っていて、それぞれ年率2%だったことが分かります。
少々めんどくさいかもしれませんが、お住いの地域で利用できる信用金庫は、さほど多くないはず。
こんな感じで、1つずつ見比べてみても、おもしろいですね。
そもそも、家の近くにどんな信用金庫があるのか分からないというときは、全国信用金庫協会のホームページから見つけることができます。
出資金の上限が設けられていることも多いしね。
信用金庫は、あくまでも地域の相互扶助が目的です。
特定の人から多額の出資を受けるのが目的ではなく、地域のみんなで助け合いましょう!という考え方に立っているわけです。
この出資金配当だけを狙って利用するのはどうかと思いますが、地域が活性化してくれれば自分たちに帰ってくる・・・と思うと、悪くない気分ですね。
ちなみに、融資を受けずに、預金するだけでは出資ができない信用金庫もあります。
利回りのいい商品として出資金を狙いに行くのではなく、あくまでもオプションくらいに考えておくのがいいですよ。
信用金庫への出資金は帰ってくるの? 元本保証はされますか?
先ほど、生協宅配の例で挙げたように、基本的には脱退すれば出資額が戻ってきます。
ただし、信用金庫そのものが倒産してしまった場合は、残念ながらただの紙クズになります。
銀行の預金だと、銀行が倒産した場合でも預金保険制度で元本1,000万円とその利息までは保護されますよね。
出資金については、そういう保護の対象にはなりません。
ただし、これはあくまでも出資金のお話です。
信用金庫に預けた「預金」は、銀行と同じルールで預金保護の対象になりますので、ご安心ください 😉
忘れちゃいそうなくらい遅いのよね・・・
出資金が戻ってくるまでは、本当に時間がかかります。
元本割れはしませんが、当面手元には戻ってこないことを理解したうえで、出資額を決めた方がいいでしょう。
パターン1 引っ越しなどで会員の条件を外れてしまった場合
この場合、法定脱退という取り扱いになります。「気に入っているから使い続ける」というわけにはいかず、脱退することになります。
脱退した年度の末日(=3月末)で、出資金の支払いをすることが確定し、4月の第一営業日以降に支払われるという流れです。
つまり、仮に8月に脱退したとしたら、お金が戻ってくるのは7か月以上先のことになります。忘れます💦
パターン2 自分の都合でやめたい場合
基本的には、だれかに出資持分を譲渡して会員をやめる自由脱退という方法を取ることとなります。
とはいえ、自分で譲渡相手を見つけるのは現実的ではありませんよね。
脱退の請求をしてから一定期間が経過したら、信用金庫が譲り受けてくれます。
ただ、この待期期間が、果てしなく長い。
脱退の請求があった日から6か月経過後の年度末に譲渡が成立するという考え方ですので、
- 2020年9月30日までに脱退請求 → 2021年3月31日で譲渡成立(4月になったら支払われる)
- 2020年10月1日に脱退請求 → 2022年3月31日で譲渡成立(4月になったら支払われる)
こんな感じで、最大で1年半程度、塩漬けになります。
配当に目がくらみがちですが、「お金は満額もどってくるけど、とっても時間がかかる」ということは、しっかり頭に入れておき、余裕資金の範囲内で出資額を決めましょうね。
信用金庫には、ユニークな高金利商品もあるので要チェック。
正直なところ、高金利の定期預金や、低金利のローンを追求するのであれば、ネット銀行の方が有利なことが多いです。
ただ、対面型で手続きができる安心感を求めつつ、ちょっとお得に利用したいなぁという方にとっては、メガバンクよりは住宅ローンやカードローンの金利が低い傾向があります。
そのほか、信用金庫の特徴として、期間限定のキャンペーンや、会員向けの優遇金利、ちょっとユニークな高利率預金があったりします。
いくつか、参考例を見てみましょう。
大阪信用金庫 まいど子でも定期預金
3人以上お子さまがいる世帯には、金利が上乗せされます。
城南信用金庫 節電プレミアム預金
ソーラーパネルの設置やLED照明への切り替えなどに10万円以上の設備投資をしていれば、定期預金の金利が年1%になります。
城南信金さんは、他にも特徴的な商品がありますね。
芝信用金庫 懸賞金付き定期預金「ふくふく」
1口(10万円)あたり、1本の懸賞金抽選権がついています。1等賞は10万円。
新井信用金庫 ふるさと定期 ”いいね~っと”
定期預金の金利のほかに、コシヒカリや地酒など、希望の特産品がもらえます。
最近は、信用金庫のネットバンクを活用すると、金利がアップするパターンのキャンペーンが増えてきています。
ぜひ、自分にあった商品がないか、調べてみてください。
1つの信用金庫に口座があれば、全国の信金ネットワークのATMを無料で使える。
ATMの引き出し手数料は、確実にコストになります。
これを押さえるための工夫は、絶対にしておくべき対策です!
信用金庫では、全国の信金ATMを手数料無料で利用できる「しんきんゼロネットサービス」というものが行われていて、
対象ATMには、こんなシールが貼られています。
土曜日:9:00~14:00(出金のみ)
この時間帯は、手数料無料で引き出すことが可能。
全国に約2万台ある、信用金庫ATMが使えます。
ただ、コンビニATMで引き出そうとすると、手数料がかかってしまいますので注意が必要ですので、ご注意ください。(セブン銀行だと、税込110円)
信用金庫のATMは、都市部だけでなく、郊外にも数多く設置されているのが特徴。
信用金庫だけだと、ちょっと不便になっちゃうかもしれませんが、ネット銀行の無料枠と併用できるようにしておくと、カバーできる範囲が広がり、利便性があがります。
信用金庫は、規模の小さな事業者や個人にやさしい。
メガバンクや大きな地方銀行になると、どうしても大きな事業者や安定した給与が見込める会社員や公務員を相手にします。
長年メガバンクでコツコツ積み立てをしていたとしても、大企業を退職して個人事業主になったら、過去の信用はリセットされます。
融資を受けたいと思っても、審査は圧倒的に厳しくなるでしょう。
一方、信用金庫の場合には、給与振込先にしたり、積立預金をコツコツと積み上げていると、それが「あなたの信用」として積みあがっていきます。
いざ、会社を離れて起業をしたい・・・となったときには、積み上げてきた信用が財産になります。
事業をしている方の場合、もし、不景気になって不良債権が増えると、銀行では貸し渋りや貸しはがしを行いますが、信用金庫の場合には、銀行ほどの冷徹さはなく、長期間安定した付き合いをしやすいという特徴もあります。
この著書には、
「もし、信用金庫に500万円を超えるような貯金があれば上客(得意客)として扱ってくれるし、1,000万円なら、個人に対しても担当者がついてくれる場合もあります。」
なんてことが書かれています。
もちろん、全ての信用金庫がこのような取り扱いをしているわけではありません。
でも、お住いの地域ごとに担当者を置いていて、定期積金の回収をしたり、きめ細かなサービスをしているなんていう場合もありますので、基本的には面倒見がいいという感じがあります。
今後長くお付き合いをしたい場合には、担当をつけてもらえるか、地域ごとに担当がいるのかなどは、聞いてみてもいいですね。
仮に、メガバンクに1,000万円預けたとしても、自分の担当がつくなんてことは、まず考えられません。
例えば、家のリフォームをしたいときに、地元の工務店を紹介してもらったり、相続や遺言のことで相談したいと思ったら、税理士や司法書士を紹介してもらったり・・・と、地元の業者に詳しい信用金庫の力を上手に借りて、仕事を依頼する相手を探す可能性も広がります。
信用金庫の担当者は、地元情報に強い。
これは、金利だけでは分からない大きな強みと言えますね。
さらに、地元の講師による趣味のセミナーをやっていたり、税務や相続の相談会をやっていたりと、個人の顧客でも活用しやすいサービスを行っていることもあります。
地元の意外な魅力を発見するきっかけになるかもしれません 😉
これは実際、私自身が合同会社を設立したときのことです。
できたばかりの、どこの馬の骨だか分からない会社に対しては、銀行を回っても口座の開設すらなかなかさせてもらえないという現実が待っていました。
そんなとき、一番最初に口座開設に応じてくれたのが、信金さんでした。
給与の受け取り口座にしていたり、定期積金で積み立てもしていたので、むしろウエルカム!という感じで口座をつくっていただけました(手続きに時間はかかりましたけどね)。
新型コロナウイルスの感染拡大により、特例的に受けられる融資制度を紹介してくれたのも信金さんでした。
普段から、節目節目で合計残高試算表を提出し、経営状況のご報告をしたり、丁寧に資料をそろえることを心掛けていたので、信頼もしていただけたようです。
こちらがきちんとした対応をしていれば、規模が小さくや実績がまだない会社や個人事業主でも、味方になってくれるのだなと実感しています。
ただし!
保険や投資商品の販売セミナー系は、冷静な判断が必要です。
わりとコストが高い商品の可能性もありますので・・・
まとめ-それぞれのメリットを生かすため、信用金庫と銀行を併用しておいて損はない。
信用金庫は、小さな融資をたくさん扱っているため、どうしても人件費がかさみます。
ということで、お得な商品もあるものの、全体的には融資の金利はメガバンクより高くなりがちです。
でも、メガバンクでの信用格付けが低くて、信用金庫での信用格付けが高い場合は、この関係が逆転することも・・・
コツコツと信用を積み上げておくと、しっかり力を発揮します。
手続き関係が基本的に煩雑だったり、ネットバンクの使い勝手が正直あまり高くはないなど、デメリットもありますが、暮らす地域が変わらないのであれば、1つ口座を持っておき、育てておくのも悪くありません。
ぜひ、目的に応じて、銀行 × 信用金庫を併用することも、検討してみてくださいね。
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