こんにちは。FP-Misaki(@fpmisaki2)です。
2019年4月から、働き方改革関連法案が施行されましたね。
良くも悪くも、影響を受け始めた方がいらっしゃることでしょう。
- トヨタ自動車の社長が「終身雇用を守るのは難しい」と発言したり
- 45歳以上の方に、早期退職を募る大企業が増えていたり
- 定年年齢を70歳まで引き上げる方向で、政府が検討を進めていたり
今後は、これまで一般的とされていたライフプランが成り立たなくなるのは間違いないでしょう。
残業代が入ることを織り込んで、やっと生活費が成り立つような収支状況なのだとしたら、早い段階で見直しておくのが大切です。
まずは、支出の見直し、特に金額が大きい固定費の見直しを進めて行くのがセオリーですが、会社の福利厚生をきちんと理解し、有効活用するというスタンスも大事です。
福利厚生の内容は、会社によって異なるので、最終的には自分で調べるしかありません。
とは言え、全体的な構造を押さえておくことで、効率よくチェックすることができるようになるはずです。
さっそく、概要をつかむところから始めてみましょう!
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福利厚生サービスの変遷を知ろう
福利厚生って、いつごろからあったサービスかご存知ですか?
実は、第二次世界大戦以前から行われていたんです。
当時は、労働者を確保するために、宿舎や食堂を用意することが一般的でした。
戦後の高度経済成長期を迎えると、ライフスタイルの多様化に合わせて、住宅購入支援や寮の提供などというように、サービスの内容が変化していきます。
その後、バブルが崩壊すると、今までのような福利厚生を維持することが難しくなりました。
会社は自社で保有していた保養所や社宅を手放し、他社名義の物件を借り上げたり、福利厚生サービスそのものを外注するなどにより、費用負担の軽減化を図りました。
そして近年では、また状況が変化しつつあります。
人材の確保が難しくなってきたことを受け、従業員の満足度を高めるために福利厚生を重視する傾向が生まれてきているのです。
レジャーや旅行などの余暇の充実や、育児・介護の際の助けとなる制度の充実などを通じて、採用の武器として使おう!ということで、福利厚生を見直す会社が増えてきました。
もし、自社の福利厚生がいまいちだなぁと思っている場合には、福利厚生担当者に働きかけることで、変わっていくチャンスのとき・・・かもしれません 😉
福利厚生の全体像を知ろう
ところで、福利厚生という言葉から、どんなものを連想しますか?
でも社会保険や住宅補助、健康診断なんかも福利厚生の一環なんだよ。
実は、福利厚生という言葉には、かなり広い範囲が含まれています。
ざっくり言えば、
経営者側が、従業員とその家族の健康や生活を向上するために行う、制度や施設・サービスなどのことです。
そして、この福利厚生は、大きく2つに分けられます。
- 法定福利厚生:いわゆる社会保険など
- 法定外福利厚生:従業員への手当や福利厚生サービス
あんなに給与から保険料が引かれているというのに。
必要な掛金の半分とか、場合によっては全額を会社が負担しているの。
だから福利厚生の一環なんだね。
それでは、それぞれの特徴を見て行きましょう。
法定福利厚生とは?
その名のとおり、法律で定められていて、企業として実施すべき基本的な福利厚生のことです。
社会保険料3種類、労働保険料2種類。
この他に、子ども・子育て拠出金という、児童手当の財源の一部となる費用を含めて、合計6種類の掛金を会社が負担しています。
- 健康保険(労使折半)
- 介護保険(労使折半、40歳以上が加入)
- 厚生年金保険(労使折半)
- 雇用保険(企業2/3、従業員1/3)
- 労災保険(企業が全額負担)
- 子ども・子育て拠出金(企業が全額負担)
健康保険や年金などは、実は福利厚生なのですね。
だからこそ、企業が掛金の一部または全部を負担しているわけです。
自営業の方に比べて、会社員の場合には年金や健康保険の給付が手厚いのは、それだけ掛金を支払っているから。
そういう意味では、会社員は優遇されているという見方もできます。
掛金の負担が苦しい!という視点だけに立つのではなく、それぞれの保険でどのような給付が受けられるのか、しっかり把握しておき、最大限に活用するのが大事ですね。
ちなみに、法定福利厚生だからと言って、どの会社に入っていても条件が同じというわけではありません。
例えば、健康保険だと、会社がどの健康保険に加入しているかで、受けられる給付は大きく異なります。
一般論だけでなく、「自分の会社の場合、どのような条件になっているのか?」を知っておくことが大事です。
サンプルケースとして、ある人の入院物語を見てみましょう!
リアルにイメージが湧くはずです(笑)
転職した際には、新しい会社の福利厚生をしっかり確認しましょう。
場合によっては民間保険を手厚くしなければいけないかもしれませんし、逆に思い切って減額できるかもしれません。
病気をしたとき、介護が必要になったとき、失業したときなど、どのような場合にいくら受け取ることができるのか?
きちんと知っておけば、不足する分だけを自分で準備すればよいことが分かります。
民間の保険で、どこまでカバーすべきか、または貯蓄でカバーできるのか。
これは本当にケースバイケース。
自分や家族にとって最適な加減を決めるためにも、法定福利厚生の基本はしっかり理解しておきたいところです。
法定外福利厚生とは?
その名のとおり、法律では定められていないけれど、会社が独自に準備している福利厚生のことですね。
よくあるものを例示してみると、
- 通勤・住宅関連:交通費や住宅にかかる費用の補助
- 健康・医療関連:健康診断や人間ドッグ、予防接種などにかかる費用の補助
- 育児・介護支援関連:託児施設やベビーシッター、介護サービスの利用
- 体育・レクレーション関連:社員旅行や運動会、企業内部活動への補助など
- 慶弔・災害関連:結婚や出産祝い金、身内の不幸に対する見舞金など
- 財産形成関連:社内預金や持ち株制度など
- 職場環境関連:スマホの支給や社員食堂
- 業務関連:業務に必要な資格取得費用、書籍や通信教育など
- 自己啓発関連:業務には直結しない自己啓発にかかる費用の補助
- 休暇関連:子どもの誕生日休暇、育児・介護休暇の上積み
このように、実に盛りだくさんな内容です。
今の自分にとって必要かという視点だけでなく、幅広くどんな制度があるのか押さえておきましょう。
例えば今は子どもがいなくても、介護をしていなくても、将来の自分にとっては必要な情報になるかもしれません。
長い目で見てライフプランを立てるのは大事です。そのときに、どんな制度が使えるのか、しっかり把握しておきたいですね。
ライフプランを立てて見たくなったら、こちらをご覧ください!
これだけ従業員の価値観やライフスタイルが多様化してきていますので、企業単体で全ての従業員のニーズに対応するのが難しくなってきています。
そこで、1990年代後半から、カフェテリアプラン(選択型福利厚生制度)と呼ばれる方式が広がってきています。
付与された福利厚生ポイントを使い、その範囲内で住宅・保険・医療・介護・育児・自己啓発・保養といった多様なメニューから、従業員自らが選ぶことができるというのが特徴です。
利用する従業員も好きなメニューを選べますし、会社側も予算管理がラクということで、多くの企業で活用されています。
そのほか、ユニークな取り組みとしては、
- 社内マッサージ制度
- 妊活休暇
- 子連れ出勤制度
- 認可外保育園補助
なんていうものを行っている会社もありますね。
一般的に、ニーズの高い福利厚生は、
だれでも使えて
いつでも使えて
受益が大きいもの
食堂の充実や割引提供、住宅手当や家賃補助、宿泊施設やレジャー施設の割引制度などは、だれもが恩恵を受けられるということで、人気があるようです。
残念ながら、我が社は宿泊施設やレジャー施設の割引制度がイマイチ・・・という場合には、福利厚生サービスを提供している会社を利用するという手がありますので、あわせて活用してみましょう。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください!
まとめ-福利厚生の全体像を頭に入れて、情報を取りに行こう!
会社によるのかもしれませんが、福利厚生の情報って、積極的に発信されていない傾向があります。
担当する部門がバラバラだったり、教えてもらえる環境がなかったりするんですよね。
たまたま福利厚生に詳しい先輩が近くにいたとか、福利厚生に関連する業務に携わったとか・・・
そういう機会がないと、知らずに過ごしてしまうことが多いものです。
だからこそ、福利厚生制度の概略を知っておき、自分から情報を取りに行きましょう。
上手に活用すれば、生活費の削減やレジャー費の節約など、生活を豊かにすることにもつながります。
せっかく使える権利があるものを、見過ごしたままにするのはもったいないです。
ぜひ、自分の会社の福利厚生を徹底的に調べて、活用してくださいね。
個人的には、福利厚生の一環として、「FPの知識を持っている人が、福利厚生のアドバイスやマネープラン作成のアドバイスをする」というサービスが展開できたらいいのになと考えています。
これなら、保険や投資信託を売らなくて済みますからね。
今の会社に所属している間に、福利厚生部門へ移動できた場合の、私の野望です(笑)
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