自宅の相続税が80%OFF! 家なき子も対象の「小規模宅地等の特例」とは?

自宅を引き継ぐ

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しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。

 

相続税の怖いところは、現金一括払い!というところ。

 

資産は必ずしも現金だけではありませんよね。

例えば、一戸建ての自宅にお住いの方は、大きな資産に相当する税金を、現金で準備しなければなりません。

 

Tsubasa
親の実家はあるけど、他の資産はほどんどない💦

もし相続になったら、相続税なんて納められないよぉ

 

そんな方の強い味方として、相続税が最大80%OFFになる特例が用意されています。

 

この特例が適用されれば、仮に1億円の土地を持っていたとしても、80%OFF=2,000万円の評価額として税額が算出されることになります。

相続税の基礎控除は、3,000万円+(600万円✕法定相続人)で計算するので、ここまで下がってくれれば、うまくいけば基礎控除の範囲内で納まりそうな予感がしてきます!

それくらいの大幅ディスカウントが受けられる、太っ腹な特例です。

Tsubasa
特例うけたい・・・ってか、うけられないと困る!
Misaki
いくつか条件があるから、しっかり押さえておこうね。

ちなみに、最近改正されて条件が厳しくなったのよ!

 

小規模宅地等の特例を受けるために必要な条件について、この制度が設けられた理由を理解しつつ、ポイントを押さえておきましょう。

 

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あまりに太っ腹な小規模宅地等の特例は、住む場所を守るために設けられた

普段の生活でも、なかなか80%OFFの商品にお目にかかる機会はありませんよね。

これだけの大幅値引きをするのには、きちんと理由があります。

 

最近はそうでもなくなりつつありますが、基本的には自宅や稼業用の土地は、次の世代に引き継がれていき生活や事業の基盤になることが多いものです。

 

ところが、通常の評価額で莫大な相続税がかかってしまうと、税金を納めるために土地を売らなければならず、住む場所や事業を行う場所を失ってしまいます。

 

生活する場や仕事をする場を、納税のために奪われる・・・

それは、あまりにもかわいそう!

 

ということで、「住み続ける人や事業を続けていく人たちの税額は、ぐっと押さえておきましょう」という趣旨で設けられている特例なのです。

この基本的な考え方を理解しておくと、適用を受けるための条件が設けられている意味が、すんなり頭に入ってくるようになります。

 

相続税は、増税トレンド。実家の不動産がある場合は「小規模宅地等の特例」を活用したい

税金にはいくつかの種類がありますが、それぞれ増税や減税にトレンドが分かれていることにはお気づきでしょうか?

増税トレンド:消費税、所得税、相続税

減税トレンド:法人税、贈与税

消費税は10%への改訂が予定されていますし、所得税は年収850万円超の会社員が増税になることが決まりましたよね。

 

相続税は、平成27年に大きな改正がありました。

基礎控除が、5,000万円+(1,000万円✕法定相続人) から 3,000万円+(600万円✕法定相続人) へ下がっただけではなく、実は税率も上がっています。

最大税率は、3億円超=50%から、改正後は6億円超=55%に。

基礎控除を下げて、税率は上げるなんて、ダブルの値上げとなる強気の改正です💦

 

一方、贈与税は、減税トレンドです。

もともと、相続税と贈与税は、同じ「相続税法」の中で定められている、兄弟のようなものです。

 

平たく言えば、

  • 亡くなった人からもらう=相続税
  • 生きている人からもらう=贈与税

という違いです。

 

そんな、近い関係の税金なのに、トレンドが真逆なのはなぜでしょう?

 

今、資産の多くは60代以上に集中しています。

そのため、30代~40代くらいの世代に、早めに資産を移転してもらい、子育てやマイホームの購入などに使ってもらって景気を良くしたい!という狙いです。

相続税をたくさん払うくらいなら、早めに贈与しちゃおうという流れを作るため、贈与税は税率構造を変更して引き下げたり、贈与税が非課税となる各種特例が作られているワケです。

 

この流れは当面変わらないでしょうし、むしろ高齢者への資産集中が加速するでしょうから、相続税は更なる引き上げが行われる可能性も秘めています。

生前贈与も含めた相続税対策はしっかりと考えておく必要がありますし、使える特例を上手に利用することで、相続税を押さえるという視点を持っておくことが大事です。

 

ただし、相続税対策に走りすぎ、家族間の関係を壊したり、生活の基盤に影響を及ぼすことがないように、注意しましょうね。

 

遺産総額200万円だって、骨肉の争いになることがあります。

むしろ、多額の遺産ではない方が、リアルな分だけ争いに発展する傾向があります・・・

相続税対策を考え始める前に、こちらをチェックしておきましょう!

 

「小規模宅地等の特例」の対象となる宅地は、4種類に分けられる

対象となる宅地は、大きく分けると

  • 人が住むための宅地
  • 事業を営むための宅地

です。実際には、次の4種類に分けられています。

 

特定居住用宅地等:80%OFF

被相続人が居住をしていた宅地。つまり、自宅の土地がこれに該当します。

最大で330㎡までが、特例適用対象です。

 

特定事業用宅地等:80%OFF

被相続人が事業をしていた宅地。つまり、自営業の駄菓子屋さんとか八百屋さんとか・・・

最大で400㎡までが、特例適用対象です。

 

特定同族会社事業用宅地等:80%OFF

特定同族会社の事業用に使用されていた宅地。つまり、中小企業などのオーナー企業(親族関係者を含めて、50%以上の株式を所有している株主がいる会社)。

最大で400㎡までが、特例適用対象です。

 

貸付事業用宅地等:50%OFF

事業用に使用されていた宅地。つまり、自営業の貸しアパートなど。

最大で200㎡までが、特例適用対象です。

 

ちなみに、1~4まで全て、土地に加えて借地権も対象になります。

対象面積の上限を超えたら、全て対象外というわけではなく、上限面積の分までは適用を受けることができます

 

特定居住用宅地等の適用を受けるための条件は、3パターン。家なき子には、厳しいよ

特例の適用が受けられるのは、次の3パターンです。

配偶者

配偶者であれば、他の条件は一切ありません!

 

同居していた親族

例えば、父・母・子が同居していた場合、子が相続する場合にも対象になります。

ただし、相続開始の時から相続税の申告期限(=10か月後)まで、引き続き居住し、所有していることが条件です。

このことを知らずに、相続後3か月で売ってしまったり、引っ越しをしてしまったら、特例の適用を受けることができません 😥 

 

同居していない親族で、持ち家がない人

本来の趣旨を思い出してください。

このパターンの場合には、住む場所を直接的に奪われるわけではないですよね!

 

なので、適用要件は細かく、厳しいです。

次にあげる条件を全部満たしている必要があります。

  1. 被相続人に配偶者がいない
  2. 被相続人と同居していた相続人がいない
  3. 相続開始前3年以内に、日本国内にある自分または配偶者の所有するマイホームに住んだことがない
  4. 当該宅地等を、相続税の申告期限まで所有している
  5. 相続開始前3年以内に、3親等内の親族、特別の関係にある法人が所有する家屋に住んだことがない
  6. 被相続人の死亡当時に自分が住んでいる家を、過去に所有していたことがない

 

例えば、戸建てを持つ母の自宅を、賃貸住宅に暮らしている子が相続するというパターンが当てはまります。

マイホームを持っていない人が対象なので、家なき子特例なんて呼ばれているわけです。

 

マイホームがない子が、相続をきっかけにマイホームを持って住み続けようってことだったら、許容範囲だね! という意味合いです。

 

実は、5と6は、平成30年の税制改正で追加された項目です。

本当は持ち家があるのに、形式的に親族に売却し、あたかも持ち家がないような体裁を整えて相続することができないように追加されました。

 

抜け穴的な節税対策として、

  • 子供の持ち家を親が買い取り、相続すれば80%OFF
  • 子ではなく、孫に相続しちゃえば、80%OFF

みたいな感じが目に付くようになり、抜け穴の部分を埋めるために、条件が追加されました。

 

この抜け穴的な条件をもくろんで節税対策を立てていた方は、改正を受けて青ざめたようです💦

相続税に強い税理士のところには、相談が殺到したとか。

 

税制は、いつ変わるか分からないということは、頭の片隅に入れておくべきでしょう。

 

小規模宅地等の特例をうけるためには、何が何でも遺産分割協議をまとめよう

小規模宅地等の特例が受けられるかどうかは、「誰が自宅を相続するか」が大事です。

ということは、誰が相続するかが決まっていないと、判断することができません。

 

そのため、相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとっていないと、特例の適用を受ける条件を満たしていたとしても、いったん特例適用前の相続税を納めなければなりません!

納付する現金の持ち合わせがない・・・という、恐ろしい状況になってしまいます。

 

小規模宅地等の適用が受けられるように条件を整えるのはもちろんですが、

「遺産分割協議がスムーズに進められるように、家族でコミュニケーションを図って準備しておくこと。」

これも大切な相続税対策の1つだということは、忘れないでくださいね。

 

特例の細かい要件には目が行っても、こういう根本的な部分は見落としがちなので、注意が必要です 😉 

 

おわりに-相続税に強い税理士を探すことと、自分自身も最低限の知識をつけておくことが大事です。

自宅と貸しアパートを持っていて、適用限度面積の調整が発生する場合や、土地と建物の所有者が異なる場合など、条件によって計算方法は非常に複雑です。

 

そのため、中途半端な知識や思い込みで対応するのは危険です。

相続税の申告や、具体的な相続税対策を立てる際には、相続に強い税理士に相談して進めることを強くおすすめします。

 

ただし、専門家に任せるからと言って、自分は何にも知らなくてもいいわけではありません。

特例の趣旨とポイントを理解しておけば、安易な判断で自宅を売ってしまうことなく考えたり調べたりすることができますし、良い税理士選びをするための力にもなります。

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