しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。
結婚して家庭を持つと、「家を買ってこそ一人前」とか、「庭付き一戸建てを持つと子供に資産として受け継げる」などと言われ、ローンを組んで新築の家を買うのが当たり前。
そんな価値観が一般的だった時代が続いていました。
でも、冷静に考えれば、
- 自分たちの生活にとって、どんな住まいが必要か
- そのためには、買うべきなのか、借りるべきなのか
- 住まいのために、無理なく捻出できる費用は、いくらぐらいなのか
まずは、これらをきちんと考えたうえで、自分たちにとってベストな選択をするのが一番です。
周りが家を買っているからとか、今はローンの金利が低いからという理由で、「借りられる金額」をベースに予算を組み、家を買ってしまうと、後で後悔することにもなりかねません。
ちょっと気になる調査結果をあげてみます。
国土交通省の『平成29年住宅市場動向調査』によると、初めての住宅購入時の平均年齢は、新築注文住宅で39.5歳、分譲戸建て住宅で37.4歳、分譲マンションで39.5歳となっています。
一方、返済期間の平均は、新築注文住宅で33.2年、分譲戸建て住宅で30.7年、分譲マンションで29.7年。
つまり、いっさい繰り上げ返済をしなければ、完済できるのは70歳前後。
老後の生活に突入しながら、住宅ローンの返済も抱えるという、非常に厳しいライフプランが見えてきます 😯
おそらく、繰り上げ返済を前提にされているのでしょうが、そううまくいくとは限りませんね。
繰り上げ返済が間に合わなければ、退職金がローン返済に消えてしまう可能性もあります。
それ以前に、退職金が支給され続けるという保証もありませんしね・・・
これから住まいをどうするか考える場合には、まずは、無理のない返済計画を立てつつ、予算を決めることが大事です。
そのうえで、やっぱり自分の家が持ちたい! という場合には、「中古住宅を買う」という選択肢が生まれてくると思います。
今は、中古住宅が安心して買えるように、環境を整備する動きも出てきています。
決して、予算が足りないから仕方なく・・・というネガティブな発想だけではなく、積極的に中古住宅を活用して、住みよい環境を手に入れるという考え方もできますね 😉
それならOK! と、中古住宅を活用するという選択肢を視野に入れたとき、住宅の状況を把握することは超重要です。
住宅診断(インスペクション)の活用法を中心に、要点を確認しておきましょう。
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中古住宅を買う利点-土地を広く買うことができる
中古住宅に対しては、マイナスイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、一戸建てを買う場合は特に、分かりやすいメリットがあります。
一戸建てを買う場合、総額が同価格であれば、土地を広く買うことができます。
アメリカやイギリスでは、「土地と建物は一体の不動産」とみなして評価されるのが一般的です。
取引事例比較法といって、駅からの距離や部屋の広さ、築年数などの地域や個別の要因を比較し、同じような物件がいくらで取引されたかという事例をもとに鑑定評価をする方法です。
一方、日本の場合には、戸建ての住宅は「土地と建物は別個の不動産」として評価されることが多いです。
その場合、建物に関しては、原価法といって、仮にもう一度同じ建物を建てたらいくらになるか(=再調達原価)を計算する方法が取られます。
このとき、「年数が経過すれば、経過年数により価値が下がる」という前提に立ち、経過年数による価値の低下を割り引いて計算するという特徴があります。
ざっくり言えば、
建物の価値は、よっぽどのことがなければ下がり続ける
というのが基本です。
注文住宅でプランにこだわって、建物にお金をかけるより、土地の広さや立地を優先しておいた方が、資産価値を維持するという視点に立つと、合理的だということが見えてきます。
インスペクションはやっておこう。ただし、自ら主体的にかかわるのが大事。
中古住宅の場合、同じ築年数でも建物の状態には非常に大きな差があります。
特にリフォーム済の物件だと、ものすごく綺麗になっていて、それだけで安心してしまいがちです。
表面的なきれいさにごまかされることがないように、専門家による住宅診断(インスペクション)は、ぜひ活用してください。
長く快適に暮らすための場であること、非常に大きな買い物であることを考えても、必要経費と考えて、しっかり実施しておいた方がいいですよ。
その際、最低限押さえておきたいポイントは、次の4つです。
チェックポイント
- 構造躯体をしっかり診断すること
- 床下や屋根裏の状況をしっかり確認すること
- 床下や屋根裏への点検口がないような物件は、そもそも選ばないこと
- 雨漏りや結露の痕がないか、細かく注意深くチェックすること
宅建業法の改正により、不動産会社は、インスペクション業者のあっせんができるかどうかを売主や買主に伝えて、意向があればあっせんするということが義務付けられています。
そのため、不動産業者から、特定の業者を薦められることもあるでしょうが、基本的にはご自身で探してみることをおススメします。
というのも、ただインスペクションを受ければ安心とはいえないからです。
まず、インスペクションをすれば、自動的に全ての劣化が報告されるわけではありません。
例えば、断熱材がなかったり劣化している、基礎にひび割れがあるけど幅が小さい・・・など、実は知っておきたい劣化があったとしても、それがすべて報告されるとは限りません。
不動産会社としては、その住宅を売りたいわけですから、報告すべき内容(調査項目)を都合よく絞り込んだインスペクションを持ってくることもあるのです。
言われるままに業者を決めるのではなく、自分で探した方が安心だと思っておいた方がいいでしょう。
売主側のインスペクションは、そのまま信頼していいの?
先ほどお伝えした宅建業法の改正を受けて、売主側で(不動産業者のススメにより)インスペクションを実施している場合もあります。
ですが、売主と買主では利害関係が異なりますので、果たしてその内容を信じていいかどうかは悩むところです。
売主のインスペクションを信用するかどうか、考えるためのヒントをまとめておきます。
報告書の内容が、うすっぺらくはありませんか?
残念ながら、インスペクションを実施したという形式を整えるために、格安の業者に依頼して簡易な報告書を作成してもらっているケースもあります 👿
国交省が提示している基準はあるものの、その最低ラインを満たせばよいと割り切ると、非常にうすっぺらい内容に仕上げることも可能です。
誰でもわかりやすいところで言えば、例えば4LDKの住宅であれば、各部屋、建物外部、床下、屋根裏・・・と調べて行けば、最低限でも報告書は20ページ程度にはなるはずです。
きちんと調査をしていれば、30ページ以上のボリュームになることでしょう。
それなのに、5ページ程度のペラペラのものが出てきたら、まず誠意が感じられないと思って疑ってかかった方がいいでしょう。
インスペクションを行った会社は、関連会社ではありませんか?
売主も個人であることが多いですから、十分な知識は持たずに不動産会社に多くをゆだねている可能性があります。
不動産会社としては、売主に対して、
インスペクションをしておくと、高く売れますよ~
とアピールし、自社の関連会社をあっせんする・・・というパターンは十分に考えられます。
関連会社だから必ず怪しいというわけではありませんが、身内に甘くなるのは世の常ですので、しっかりチェックしておくに越したことはありません。
インスペクション業者のWebサイトなどを見て、出資元(株主の構成)がどうなっているかをチェックしてみてください。不動産業界団体との提携関係が強いかどうかも見ておくといいですね。
そもそも、インスペクションに立ち会えない時点で不利なのです
当たり前の話ですが、事前にインスペクションが終わってしまっていれば、調査の現場に立ちあうことができません。
いったい建物のどこをどのようにチェックして、判断しているのか、わからないままペーパーでの報告書を読むことになります。
調査時に一緒に現場を見ていれば、疑問や相談したい事項が出てくるかもしれませんが、報告書を読んだだけでは、何が疑問かさえ、わからないままで終わってしまう危険性もあります。
もともと、インスペクションを実施する意味は、買主がその結果を信頼し、納得して買うかどうかを決めるためのものです。
インスペクションを実施すること自体が目的化してはいけませんね。
出てきた報告書が、納得がいく内容であればいいのですが、基本的には自分で探したインスペクション業者と、自分も立ち会って一緒に診断を行うのが確実です。
インスペクション業者の探し方
自分でインスペクション業者を探そうと思ったときに、確認しておきたいポイントをいくつかあげてみます。
インスペクションを依頼しようとしている建物の工法に詳しいか、実績があるか
建物の工法はさまざまで、全てに強いインスペクターは、なかなかいらっしゃいません。
いくら評判がよく、実績があったとしても、ご自身が買おうとしている建物の工法に詳しくなければ、“自分にとっては” いいインスペクターではないですね。
素人である私たちが分かるように、かみ砕いて説明してくれるか
仮にインスペクターの能力が高かったとしても、私たちが結果を伝えてもらう際に、専門用語だらけで何を言っているのか分からない状態だったら、意味がありません。
建物の状態を知りたいのは、インスペクターではなく、私たちです。
そのため、私たちに伝わるように、上手に翻訳してくれるスキルがあるかは、とても大事です。
格安すぎたり、リフォーム会社と癒着していないか
不動産業者が連れてくる以外にもある怖いパターンとして、その後のリフォームを請け負う前提で、リフォーム会社がインスペクションを行うというケースがあります。
この場合には、必要以上にリフォーム内容がてんこ盛りになるような報告書があがってくる危険性があります。
あくまでも、インスペクション業者には第三者の立場でいてもらうためにも、他の取引とは切り離して依頼をすることが大事です。
インスペクション料の相場は、床下や天井裏まで侵入する調査だと12万円ぐらい。
あまりにも激安すぎる場合や、無料の場合は、インスペクション料以外の収入(リフォーム会社のあっせんとか)が、裏に隠れている可能性を疑っておいた方がいいでしょう。
ちなみに、インスペクターとして活躍している方の中には、建築士の資格を持っていない方も含まれています。
既存住宅状況調査技術者の資格保有者であれば、確実に建築士(1級建築士・2級建築士・木造建築士)の資格を持っていますので、その中から探すのが安心でしょう。
資格保有者の検索は、こちらでできますよ!
まとめ-自分で学ぶことと、プロに任せること
不動産を買う、投資信託を買う、生命保険に入る・・・
こういうお金にまつわる話は、難しいとか面倒だとか、様々な理由で販売業者に言われるままになりがちですよね。
だって、プロが言うことだし、従っておけば安心でしょ?
確かにプロかもしれません。
ただ、販売業者は商品を上手に売ることができるプロであり、必ずしも皆さまの生活を豊かにするプロではない、ということが多々発生しています。
(ちゃんと私たちの利益を考えてくれる方もいますけどね・・・当たり外れが・・・)
油断していると、自分の利益ではなく、“販売業者の利益になるもの“を知らないうちにつかまされてしまうという、恐ろしい可能性を秘めています。
そのため、お金にまつわることは、
- 自分自身で最低限の知識を持ち、
- 必要に応じて自分の利益を考えてくれるプロを、自分で探す。
- 販売を受ける人と、調査や情報の提供を受ける人は、切り離しておく。
これを意識することが大事です。
中古住宅の場合には、不動産業者やリフォーム会社が連れてくるインスペクション業者は避け、物件との利害関係がなく、信頼できそうな業者を探しましょう。
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