しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、2017年1月より大幅に改正されて、勤務先に企業型DCや企業年金がある会社員、公務員、専業主婦(夫)など、多くの方が加入対象になっています。
私自身も、改正により加入対象となりましたので、iDeCoデビューから1年ちょっとが経ったところです。
今日現在での運用利回りは、2.89%。
今は株価が下がっている局面なので、たいした数字じゃないなぁと思われたかもしれませんね。
ですが、12月末ごろには、19%まで上がっていたこともありました。
このように、確認するタイミングで利回りは上下しますので、最初のころの利回りは気にする必要はありません。
資産配分が大きく崩れていませんでしたので、そのまま放置中です。
さて、そんなiDeCoに関して、平成30年(2018年)5月1日付で、「確定拠出年金制度等の一部を改正する法律」が施行されることになりました。
管理運営機関(証券会社など)に向けた内容なので、私たちには関係ないと思いがちですが、意外と影響があるかもしれませんよ!
早速、ポイントを押さえて行きましょう。
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運用商品の本数が、35本上限になる
今回の改定は、企業型・個人型にまたがって行われています。
iDeCoに関しては、各管理運営機関で提供できる運用商品の本数に上限が設けられ、35本以内に納めなければならなくなる、という変更が行われています。
さかのぼって昨年5月、社会保障審議会企業年金部会の確定拠出年金(DC)の運用に関する専門委員会において、確定拠出年金の制度改正について議論がされました。
その中で、
- 運用商品を指定しないで放置する「不指図者」が多いこと
- 元本確保型のみの運用が過半を占めること
などが問題視されました。
多いから選べない → だったら本数を減らせばいい → 何本だったら選べるようになるのか?
という思考の流れをたどったことから、「本数制限」という結論に至ったようです。
欧米のDC制度は10本程度で運用されているので、これが軸になるかとも思われましたが、関係団体などの意見を踏まえたりしながら調整が行われ、結果として落ち着いたのが35本というラインでした。
企業型は、加入者に選択の権利がないものの、iDeCo(個人型)は、自分で販売会社を選べるのだから、本数制限をかけなくてもいいんじゃない?という意見も出たのですが、少数意見だったことから、iDeCoにも企業型と同じように35本制限がかかることになりました。
オーバー分は5年以内に調整が必要
35本という「本数制限」が行われたため、既に36本以上の運用商品を提供している管理運営機関はどうするの?という問題が出てきます。
2018年5月1日の時点で、36本以上の運用商品がある管理運営機関は、その本数が上限になります。
つまり、事実上、新しい商品を追加することはできなくなります。
さらに、5年以内に35本以内に納めなければなりませんので、2023年4月末までに、段階的に運用商品を減らしていくこととなります。
もし、自分が選んでいた運用商品がリストラの対象になった場合には、残りの商品にスイッチングしなければなりませんね。
現在、商品本数が多い販売会社をピックアップしてみると、
- SBI証券 63本
- 岡三証券 41本
- スルガ銀行 33本
- りそな銀行 33本
- ゆうちょ銀行 31本
- 楽天証券 31本
などがあげられます。早い段階からiDeCoに力を入れていた管理運営機関が多く含まれているなぁという印象ですね 😥
35本オーバーのSBI証券や岡三証券は商品を削らなければなりませんし、その他の30本オーバーの管理運営機関も、新しい商品を追加するのが難しくなるでしょう。
つまり、今後いい商品が出てきたとしても、入れ替えが難しい・・・という残念な状況におちいる可能性があるのです。
ちなみに、委員会では、運用商品の除外の際に留意すべき点として、
- 信託報酬の水準
- 運用成績
- 除外後の運用商品全体の構成
- 手数料
- 当該商品の指図者数(=利用者数)
などを考慮し、「加入者に情報提供をしたうえで、除外手続きを進めること」と、具体的な除外商品選定方法の指針を提示しています。
ここから想像すると、同じ株価指数に連動するインデックスファンドが複数ある場合には、信託報酬が高い方の商品がリストラされることが予想できますね。
運用商品を除外するためには、いったん早期償還して現金化し、他の商品を買いなおすことになります。運が悪ければ、基準価格が低いタイミングで現金化されてしまうことになりますので、注意が必要です。
入れ替えのタイミングが選べないということは、投資をする側にとっては不利な条件なのです。
SBI証券や岡三証券でiDeCoの運用をされている方は、早い段階で一度ご自身の運用商品とその他の商品の比較をしておき、生き残る商品かどうか、予測をしてみましょう。
そのうえで、証券会社の方針を確認しつつ、良いタイミングで商品の入れ替えができるように、リサーチを始めておくといいでしょう。
正直なところ、この改正の目的が分かりません。
商品数が多すぎると選べないというのは、人間の心理として間違いなくあります。
でも、現在35本を超えている管理運営機関は、たったの2つ。
迷わせないための改正を重視するのなら、もっと本数を絞らなければならないですね。
そもそも、つみたてNISAのように、本数ではなくて、組み込める商品の基準を厳格にすればいい話です。
一方、本数が絞られたことにより、運用商品が固定化されることが想定されます。
一度決めた管理運営機関を変えるのは、それなりにハードルがありますから、他と比較するという手間をかける人も少ないでしょう。
商品は固定しておき、さりげなく信託報酬を上げていく・・・なんていうことも、できてしまうという懸念がありますね。
ということで、いったい何のため、誰のための改正なのでしょうか・・・
公的制度の制度に関しては、時々こういうことが起こる場合がありますので、情報収集しながら自衛をしていくしかありませんね。
管理運営機関の選び方が変わる?
もともと手数料が安く、商品ラインナップも充実していたSBI証券や楽天証券は、引き続き選択の有力候補になりますが、今回の改正を踏まえると、少し様子を見てから商品を厳選した管理運営機関のメリットも高くなってきます。
この観点で見ると、浮上してくるのがマネックス証券です。
マネックス証券は、2017年9月からiDeCoに参入しました。
私が比較検討していたころには、まだなかったんですよね・・・
マネックス証券の強みは、
- 運営管理手数料が無条件で0円
- 運用商品数がちょうどいい(現在22本)
- ロボ・アドバイザーによる資産配分アドバイス用ツールがある
- 低コストのインデックスファンドがそろっている
- マネックスポイントが付き、マイルや各種共通ポイントにも交換可能
といったところです。
ちなみに、マネックス証券のiDeCoで取り扱っている21本の投資信託のうち、9本が業界初の商品ですので、商品ラインナップにも個性があります。
該当する商品と、現時点での信託報酬は
- iFree JPX日経400インデックス 0.2106%
- スパークス・新・国際優良日本株ファンド 1.7712%
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス 0.11826%
- eMAXIS Slim新興国株式インデックス 0.2052%
- たわらノーロード NYダウ 0.2430%
- eMAXIS Slim先進国債券インデックス 0.1836%
- ゴールド・ファンド(為替ヘッジあり) 0.3996%
- ラッセル・インベストメント・グローバル・バランス 安定成長型 1.2312%
- eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 0.22572%
です。
商品の面でも、SBI証券や楽天証券に負けず劣らずのラインナップです。
その他に、マネックス証券は、各種ツールも豊富で、リバランス管理用に使える MONEX VISIONβ があるなど、証券会社としての利用価値も高いです。
リバランスやMONEX VISIONβ の詳細などは、こちらにまとめてあります!
自分にとって魅力的な商品があるかどうかで、総合判断していただくことにはなりますが、今の条件で新たに管理運営機関を選ぶとしたら、最有力候補になりそうです。
これから加入される方は、ぜひ比較検討の対象にしてみてください。
ちなみに、新規に口座を開設する場合には、キャンペーンをやっている場合がありますので、どうせ作るなら活用をおすすめします。
私がポイントの二重取りに活用しているハピタスでも、新規口座開設で500ポイントがもらえるキャンペーンがありました。その他も含めて、探してみるといいでしょう。
ただし、くれぐれも「必要なものにプラスαでポイントをもらう」ということだけはお忘れなく。
いらないものをポイント目当てで利用するのは厳禁です!
おわりに
制度改正が行われた場合には、その改正の背景と、もたらす効果を考えると、何をすべきかが見えてきます。
ですが、風見鶏のように、ちょっとしたことでフラフラと動いていると、本来の目的を見失うことがあります。
投資に限らず、何を重視して選んだのか? その方針から完全にズレてしまったのか? という点を判断の軸として、世の中の動きには冷静に対処していきましょう。