無事に就職はできたけど、将来のことが不安で仕方がない。
なんとかして、今のうちから老後に備えなきゃ・・・
そんな20代の方が増えてきているのを感じています。
まだまだ先なのに
気持ちはわかるなぁ
私の周りでも、節税できるから絶対お得! だということで、入社早々からイデコを始めようとしている方が増えています。
ただ、話を聞いてみると、意外と制度を理解せずに雰囲気で始めようとしている方が多く、ちょっと心配になることも。
確かに老後の生活費を、受け取れる年金だけでまかなうのは無理なお話し。
自分で備えておく必要があるというのは、間違いないことですね。
ただ、少し冷静に考えてみましょう。
今すぐイデコを始めることが、本当にあなたのためになるのでしょうか?
他に優先すべきことはないのでしょうか?
これはものすごく大事なことですが、イデコの掛け金は60歳まで引き出すことができません。
25歳で拠出した掛金は、どんなことがあっても35年間は使うことができないということを意味します。
これから先、結婚するのか、子供を育てるのか、どこで暮らすのか、今の仕事を続けているのか・・・
20代の今は、未来の生活スタイルがどのようになっていくのか、未知数な部分がたくさんありますよね。
だからこそ、より良い未来にするために、たくさんの経験をしたり、努力を重ねていくタイミングでもあるわけです。
そんなことも頭の片隅に入れながら、今すぐにイデコを始めるべきなのか、しっかり考えてから始めた方が、後悔せずにすむでしょう。
老後の資金を用意するためにはとっても有益なイデコだからこそ、長い目で見て、その恩恵をしっかり生かしたいですね。
20代のうちからイデコを始めべきか考えるうえで、知っておきたいポイントをまとめてみます。
本当に自分に合っているのか、しっかり考えてから始めましょう!
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転職・退職したら、イデコの移管手続きが必要なのは覚えておこう!
イデコの場合、自分で金融機関を選び、自分で運用商品を決めます。
そのため、つい忘れがちですが、あくまでも年金制度の一環であることから、勤務先の状況と加入者資格が紐づいているのです。
もし転職した場合、転職先が企業型確定拠出年金を導入していて、イデコへの同時加入を認めていないなんてこともあり得ます。
その場合には、加入者資格の喪失と資産の移管手続きが必要になります。
資産を移管するときには、イデコで運用していた資産は、いったん現金化されます。
株式などの値動きがある資産で運用していた場合、たまたま損失が出ているタイミングで移管の手続きを行えば、損失が確定してしまうわけです。
そして、移管が終了したら、改めて転職先の会社が用意している商品の中から運用商品を選びなおす必要がある。
そんな特徴があるのは理解しておきましょう。
転職、退職、いずれの場合でも、加入者資格が変更になるため、手続きが必要です。
イデコに加入していた会社員が退職して無職になった場合、加入者被保険者種別変更届を運営管理機関(=証券会社など)へ提出しなければなりません。
加入者資格を失った場合、6か月以内に移管の手続きを行わないと、これまで積み立ててきた資産が国民年金基金連合会へ自動移管されることがあります。
自動移管をされてしまうと、デメリットだらけです。
- 現金のまま預かられ、資産の運用は行われない(=資産が増えることはない)
- 管理手数料が毎月51円ずつ差し引かれる(=徐々に資産が減っていく)
- 自動移管されている期間は、イデコの加入期間に算入されない(=加入期間が足りなくなれば、60歳になっても受け取ることができなくなる)
メリットは1つもありません💦
この恐怖の自動移管者を減らすために、
- 企業型確定拠出年金の資格喪失後6ヶ月以内に新たにイデコの加入者になったことが確認できた方
- 自動移換の状態で新たにイデコの加入者になったことが確認できた方
については、移換の申し出をすることなく、企業型確定拠出年金や特定運営管理機関からイデコへの移換処理が行われるようになりました。
とは言え、やるべき手続きを怠れば、不利益になることがあるということです。
しっかり制度を理解しておかないといけませんね。
これからは、1つの会社に勤め続ける終身雇用は、当たり前ではなくなっていくことでしょう。
転職をするというライフイベントは、普通のこととなるわけです。
もしも転職をしたときに、何に気を付けるべきかという知識は、しっかり持っておくことが大事ですね。
節税効果は大きい・・・けれど、その特徴は知っておこう!
イデコの一番の魅力として挙げられるのは、掛金が全額所得控除の対象になることですよね。
利回り20%とかで紹介されていることも多く、ものすごーくお得な制度だっていう印象です。
この節税効果の意味について、深堀りしてみましょう。
税金をたくさん納めている人ほど、節税効果が高いということ
月々23,000円の掛金を支払っている場合、所得税率10%の方であれば、
住民税率分の10%とあわせて、
年間で23,000円×12か月×20%=55,200円程度の節税効果が得られます。
ただ、この節税効果というものは、所得が高い人ほど大きな効果が出るという特徴があります。
住民税率は一律10%ですが、所得税率は年間の所得が高くなるほど上がる仕組みとなっています。
ご自身の税率が何%かを確認したい方は、こちらの記事をご覧ください。
ざっくりの目安ですが、年収440万円程度までの会社員の方であれば、所得税率が5%となることが多いです。
20代の会社員の方の場合、多くは所得税率5%のラインにいることが多く、
年間で23,000円×12か月×15%=41,400円程度の節税効果ということになるでしょう。
参考事例として紹介されるのは、所得税率10%の場合が多いです。自分の場合はどうなるのかをしっかり把握しておきたいですね。
節税効果が得られるのは、掛金を拠出したときだけ
それでも、節税効果15~20%!! と言われると、ものすごく利回りが高く感じますね。
ただ、1つ覚えておいて欲しいのは、この効果は掛金を拠出したときだけのお話しだということです。
もし、定期預金や投資信託で運用をしていた場合の利息は、保有している資産の総額に対して利率をかけたものとなりますよね。
つまり、資産が積みあがっていけばいくほど、得られる利息収入が増えていくという性質があります。
特に、複利で運用している場合、積み立てた元本+利息に対して利息が発生するわけですから、時間が経つほどに資産が増える加速度がアップしていくという性質があります。
例えば、毎月23,000円を、30歳~60歳の30年間積み立てながら、4%の複利で運用した場合、
828万円の投資金額が、753万円増えて1,581万円になる計算です。
一方、30年間での節税効果は、所得税率が一律10%だとしても、
55,200円×30年=165万円
割合だけで見ると20%の方がインパクトが強く感じますが、掛金だけに適用される20%と、複利運用の4%では、その効果には大きな差があるということは頭に入れておきましょう。
このケースですと、4%複利で普通に運用した場合、運用利益の753万円のうち約20%は税金として引かれます。
これが非課税になるのも、イデコの大きなメリットでしたね。
こうしてみると、運用益が非課税になることは、節税効果と同じくらい、あるいはそれ以上に大きなインパクトがあるということが分かります。
節税効果が確定するのは、イデコを受け取ったとき
イデコの節税効果として、
- 掛金が全額所得控除の対象となる
- 運用益も非課税で再投資される
- 受け取るときにも控除が受けられる
というように、3つの節税効果があるというように語られます。
もちろん間違いではないのですが・・・
ただ、この3つ目の節税効果は、実は1番目とリンクしている制度です。
イデコは「年金」という位置づけなので、自分が払い込んだ掛金も含めて、受け取る金額全体に対して税額が計算されます。
これがもし、普通に投資信託とかで運用をしていたら、運用益だけに課税されますよね。
イデコのルールは、掛金を支払う段階では課税しないけれど、受け取る段階に繰り延べて課税しますよ! ということ。
これが、基本的な考え方です。
ただ、3つ目の受け取り時点での控除が、現時点では大きく優遇されていますので、受け取り方を間違えなければ、最終的に非課税にすることができるという仕組みになっているのです。
つまり、老後を迎えて受け取り方を決めた時点で、本当の節税効果は決まるということです。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
問題は、実際に受け取るのは遠い未来のお話しだということ。
そのころに税制がどのように変わっているかは、正直読めません。
実際、受け取り時の控除の1つである退職所得控除に関しては、長期雇用が優遇されていて働き方が多様化する時代に合わないから見直すべきだ! という意見も出ていて、見直しに向けた検討が始まっています。
もし見直された場合には、イデコの受け取り時の税制優遇は、今よりも少し厳しい条件になっているかもしれません。
イデコを活用する場合、所得控除によって浮いた税金分は、払わなくて済んだというよりも、「今使えるお金が増えた」という風にとらえて、有効活用するのが大事ですね。
月5,000円から始められるが、月々の掛金が低いと手数料効率が悪い
イデコで運用をする場合には、イデコ独特の手数料がかかります。
加入時手数料 初回のみ2,777円
口座管理手数料 毎月167円
受取時振込手数料 432円
これは最低限の金額で、金融機関によっては、さらに上乗せして手数料がかかるところもあります。
上乗せ分がない金融機関を選ぶのはマストです!
このうち、口座管理手数料はくせ者で・・・
仮に月々5,000円を積み立てる場合、なんと掛金に対して3.34%もの手数料が引かれる計算となります。
23,000円積み立てる場合ですと、掛金に対する比率は0.73%程度に下がります。
一見すると分かりにくいですが、掛金が低い場合にはかなり手数料効率が悪いという特徴があります。
そういう意味では、イデコは小さく始めるということには向いていなく、ある程度まとまった金額をしっかり積み立てられるようになってから使う方が無難です。
まずは、しっかり黒字家計にして、余裕をもって積み立てられる力をつけてから活用した方がいいでしょう。
最初は、つみたてNISAから始めるという選択肢もある
運用益が非課税になる制度は、イデコだけではありません。
他にもつみたてNISAという制度が用意されています。
こちらは最大20年間運用できるという制度ですので、急なライフプランの変化でお金が必要になった場合には、引き出すことも可能です。
100円から投資信託を買うこともでき、手数料効率も変わりませんので、小さく始めて投資に慣れるという使い方もしやすいでしょう。
若いうちは、貯金+つみたてNISAから始めておき、貯蓄の余力が出てきたらイデコを活用するという方法を取ることも、選択肢の1つとして考えられます。
まとめ-未来への備えは大事だからこそ、順序立てて制度を活用しよう
20代は、まだまだ若くて、たくさんの時間を使うことができます。
20代のときには気が付きにくいのですが、時間というのはとてつもなく大きな武器なんです。
時間の価値について触れている記事を見つけましたので、参考までにリンクしておきます。
お金を呼ぶ教養塾【第12回】時間には値札が付いており、その値段は刻々と変わる
一方、時間という武器を持っているときには給料が低いのが現実で、お金の面では不安が出てくるのは当然のことでしょう。
成果が目に見えにくいかもしれませんが、若いうちは、お金の知識を身に付けつつ、収入を上げるための努力をする方が、はるかに投資効率がいいものです。
お金を守る力を身に付けつつ、会社内で昇給できるように必要な資格を取ったり、スキルアップのための書籍代にあてたり、副業をするための資本にする方が、生涯収入の増加にもつながりますし、お金に振り回されない豊かな暮らしへの近道となります。
- 毎月の収入から、一定額をコツコツと積み立て貯蓄する習慣をつける。
- お金を使うべきポイントを押さえて、ムダな支出を減らす。
- 自分の未来のため、経験や知識を得るための自己投資をする。
- 一定の貯蓄ができたら、つみたてNISAで小さく株式投資にチャレンジしてみる。
ここまでやって、さらに余力が出てきたら、はじめてイデコを使う。
これくらいの順序で考えておけば大丈夫。
まだ貯蓄の習慣ができていなかったり、最低限度の貯蓄ができていない場合には、しっかり足元を固めることが優先です。
ぜひ、新社会人が知っておきたいお金の知識を頭に入れて、実践してみましょう!
イデコは30代、場合によっては40代からの活用でも、全く遅くはありません。
どんなにしっかり将来のことを考えていても、ライフプランは大きく変わる可能性があります。
しっかり貯蓄して、いざという時に自由に動かせるお金を準備しておけば、選択肢は広がります。
ライフプランが固まり切っていない若いうちほど、60歳まで資金が拘束されるということのデメリットは大きいと考えておきましょう。
とは言え、すでに給与が高い会社に勤めている、自営業でしっかりと収益を出している、家計管理の力が身についていて投資慣れしている、実家暮らしで家賃がかからない・・・というような条件に当てはまり、まとまった金額を貯蓄に回せるという場合は、早い段階からイデコを活用するといいでしょう。
自分に合ったスタイルを見つけて、お得な制度を上手に活用してくださいね。
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初めまして。
リベ大コミュニティからこちらへ来ました。ブログとインタビュー記事を読ませていただきました。メルマガも登録しました。
私は最近FP2級を取得しました。
(1級は受験資格がないのです。)
FP、生活には1番役に立つ資格かと思います。
老後に向けて金融資産の最大化より、
キャッシュフローに関心があります。
女性大家さんにも興味があります。
どうぞ宜しく御願い致します。
くーみんさん、コメントをいただきましてありがとうございます。
FPの知識は、生活の基盤づくりには大きく役立ちますよね。
私も取得して本当に良かったと思っています。
1級は少々マニアックなので、必要性がなければ無理して受検しなくていいと思います。
仕事につなげたい場合には、AFPを取ってしまって実務に入っていく方が近道ですしね。