しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。
相続の問題は、一部のお金持ちの悩みではなく、だれもが直面する可能性があります。
しっかりと対策して、家族が安心して過ごせるようにするためには、4つの相続準備が必要です。
要チェック! 相続対策に溺れないための4ステップとは?
- 現状を把握すること
- 家族のコミュニケーションと円満な関係
- 納税資金の準備
- 節税対策
さっそく、1番目の現状の把握に入りたいのですが、そのためには相続税評価額を確認する必要があります。
相続税評価額の計算は、正確にやろうとすると難しく、特に土地や建物は複雑です。
そのため、税理士に依頼して確認していただく必要がありますが、概算であれば自分で計算することが可能です!
おおよその相続税評価額が計算できるように、基礎知識を身に付けていきましょう。
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土地の相続税評価額
基本的には、相続税は亡くなった時点での、その財産の時価が評価額のベースになります。
ですが、土地の時価って、そう簡単には分かりません。
不動産鑑定士に依頼して、手数料を支払って・・・なんてことをしていたら、お金も時間もかかってしまいますね。
そこで、国税庁は誰でも同じ条件で計算できるように、相続税評価額算出用の基準を作りました。
これを路線価と呼んでいます。
路線価って、どうやって決まるの?
路線価を決めるベースになっているのは、国土交通省が公示する「公示価格」というものです。
年に1回、1月1日を基準日として算定され、3月下旬に発表されます。
2019年分の公示価格は、3月19日に発表されました。
国土交通省 地方圏でも住宅地が27年ぶりの上昇に~全国的に地価の回復傾向が広がる~
三大都市圏では、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも上昇が続いていますが、地方圏でも全用途平均および住宅地が27年ぶりに上昇に転じています。
地方都市の上昇は、訪日客の増加や駅前の再開発などによるとのことです。
この公示価格というものが、一般的な土地取引価格の指標として使われています。
そして、相続税の算出に使われる路線価は、公示価格の8割程度を目安として決定されます。
公示価格の決定を受けて算定されますので、こちらも同じく年に1回見直しが行われますが、少し遅れて7月1日に公表されます。
税金という観点から見てみると、土地の相続税評価額は、最初から相場の8割程度なのですから、現金でそのまま持っているより、土地に変えてしまった方がお得なわけです。
路線価の成り立ちを見ただけでも、金融資産を不動産に変えると、節税対策になるといわれる理由が分かりますね。
我が家の路線価が知りたい!
路線価は、だれでも簡単に見られます。
財産評価基準書 路線価図・評価倍率表 というサイトに行ってみてください。
過去の分も含めて、全国の路線価を見ることができます。もちろん、無料です!
試しに、ご自身のお住まいを探してみましょう。
「路線価図」という項目から、市区町村から順に選択しながら進んでいくと、地図が出てきます。
地図の道路上には、「200D」とか「290C」とか記号が書かれています。
これが、路線価を表す記号です。
最初の数字は、1㎡あたりの単価です。ただし、円ではなくて千円単位です。
例えば、路線価が200Dと表示されている場合には、200千円 つまり20万円です。
後ろについているアルファベットは、借地権割合を表しますので、借地ではない場合には無視してOKです。
A:90%、B:80%・・・と10%ずつ下がっていて、最後はG:30%となります。
路線価が200Dの土地の場合、
- 土地を借りている人(借地権) 20万円✕60%=12万円
- 土地を貸している人(貸宅地・底地) 20万円✕(1-60%)=8万円
という評価になります。
こうしてみると、借地権って、けっこう強い権利ですよね 😐
あとは、持っている土地の平米数で掛け算をすれば、自宅の土地の評価額が計算できます。
実際には、土地の形が悪かったり、広すぎる土地の場合には調整が入ったりしますが、概算レベルではこれで十分です。
過去何年か比較してみると、持っている土地の路線価が上がっているのか下がっているのかも確認できます。
周辺の路線価の違いなんかを見比べてみると、なかなかおもしろいですよ。
建物の相続税評価額
建物の相続税評価額を計算する際には、時価ではなく、「固定資産税評価額」が使われます。
市町村から、年に4回「固定資産税納税通知書」がお手元に届いていますね。
そこに課税明細書が同封されていますので、価格(または評価額)欄を見れば、固定資産税評価額が分かります。
ちなみに、建物の固定資産税評価額は、おおむね建築費の50%~70%。
築年数に応じて減額されていきます。
そして、相続税評価額の計算方法は、
自己利用の建物=固定資産税評価額✕100%(要は、同額ということ!)
賃貸中の建物=固定資産税評価額✕70%
です。
土地も建物も、もともとの評価額が低く見積もられていて、さらに賃貸に出していると低く評価されることが分かります。
だから、節税対策=賃貸アパート経営という話につながって行くわけです。
節税という視点では、全く間違っておりません。
あとは、賃貸経営の採算性とのバランスなのですが・・・この点が見落とされがちなので、注意が必要です。
目先の節税だけに走らないように、総合的に考えることを忘れてはいけません 😉
上場株式、投資信託の相続税評価額
上場株式の場合には、4パターンの中から最も低い株価が選べます。
- 相続開始日の終値
- 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
- 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
- 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額
つまり、3か月前までの中で、もっとも有利なものが選べます。
投資信託の場合は、平たく言えば相続開始日に売却した場合の手取り相当額です。
計算式を書きますと、
相続開始日時点の1口当たりの基準価額✕口数-(相続開始日に解約した場合に源泉徴収される所得税の額)-(信託財産留保額及び解約手数料)
長いですね・・・
概算でよければ、基準価格✕口数を計算しておけば大丈夫です。
投資信託の相続について考えたいときは、こちらもチェック!
その他の相続税評価額
定期預金は、相続開始時点の残高および利息分ですので、難しく考える必要はありません。
その他、よくある資産について簡単にまとめておきます。
自動車
相続開始日時点の下取り価格で評価されます。
中古車の場合には、インターネットで売却の見積もりを出してくれる業者がありますので、その金額を利用することができます。
ゴルフ会員権
相続開始日時点の取引相場の70%で評価されます。
こちらも、ゴルフ会員権売買のインターネットサイトで相場は調べられます。
自動車、ゴルフ会員権ともに、複数のサイトで比較して、より低い評価額のものを裏付けにすることが可能です。本当の評価額を決める際には、なるべく多くのサイトで比較検討しましょう。
この他に、非上場株式の相続税評価もありますが、こちらは評価の方式も多く、専門性が高くなりますので、ここでは割愛します。
もし、非上場株式を持っている場合には、税理士に依頼し、確認してもらった方がいいでしょう。
おわりに
土地や建物の相続税評価額は、一見難しそうですが、概算レベルであればそんなに難しい計算は必要ありません。
第一ステップとして、現状を把握するレベルであれば、今までの情報で十分です。
資産の概算が把握できたら、次は法定相続人が何人か? について確認してみましょう。
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