しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。
1か月内に高額な医療費がかかった場合、「高額療養費制度」によって、一定額を超えた分は払い戻しを受けられる!ということをご紹介しました。
高額療養費制度は、とってもありがたいのですが、少々難点もあります。
まずは、高額療養費の受け取り方について確認し、マイナス面を補う仕組みについて見ていきましょう。
スポンサーリンク
高額療養費を受け取るには?
通常、病院の窓口で医療費を支払う場合には、健康保険証を提出することで、最初から自己負担額(主に医療費の3割)だけが請求される仕組みになっています。
最初から7割引きの医療費を払えるわけですね。
ですが、高額療養費の場合には、自ら申請をしないと払い戻しを受けることができません。
(制度自体を知らない方は、払い損のまま過ごしてしまうので恐ろしいですね 😥 )
1か月あたりの上限額は、その方の年齢や年収によってきます。
健康保険証を見ただけでは、いったい上限額がいくらか? ということが、医療機関では分かりません。
そのため、基本的には事後に申請することになるのです。
高額療養費の申請方法
申請書類や必要書類は、加入している健康保険組合や国民健康保険によって違います。
ご自身が加入している健康保険の窓口で確認してくださいね。
添付書類として必要となる主なものとしては、
- 病院の領収書
- 保険証
- 振込先金融機関の口座がわかるもの
- マイナンバーカード または 通知カード
です。
領収書だけしっかりとっておけば、その他のものは準備するのは難しくありませんね。
医療費の領収書は、使う予定がないときでも、1年間はなくさずにとっておきましょう。
もし高額療養費の対象にならなかったとしても、医療費控除の対象にできる可能性がありますよ。
医療費控除ってどんなもの? という方は、こちらをどうぞ!
いつまでに申請すればいいの?
支払いの申請期限は、病院にかかった翌月の初日から2年以内です。
もし、過去に未申請の高額医療費がある場合、2年以内のものなら今からでも間に合います!
思い当たるものがあったら、ぜひ申請してみてください。
高額療養費はいつ戻ってくるの?
医療機関から健康保険組合へ診療報酬明細書が届くまでに約2か月。その後、健康保険組合が資格審査などを行い、支払いの準備をしますので、トータルで3か月くらいはかかります。
年収550万円の方が、1月の医療費に100万円かかった場合、自己負担上限額は87,430円となりますが、いったん医療費の3割にあたる30万円を病院に支払います。
差額の212,570円が戻ってくるまで、3か月くらいかかるわけです。
戻ってくることが分かっているとはいえ、手元のお金が減ってしまうと大変です。
きちんと貯蓄をしていないと、この3か月間、家計のやりくりが火の車になってしまう危険性がありますよね・・・
これが、高額療養費制度のマイナス面なのです。
でも、カバーする方法がちゃんとありますのでご安心ください 😉
限度額適用認定証をもらっておこう!
70歳以上になると、「高齢受給者証」というものが交付されます。
これは、病院での負担割合を示す証明書で、健康保険証と合わせて病院に提出することで、最初から負担限度額までしか支払わなくて済むようになっています。
この仕組みを69歳以下の方にも取り入れた「限度額適用認定証」というものが、2007年4月から導入されています。
つまり、限度額適用認定証を手に入れておけば、若い世代の方であっても、最初から負担限度額までの支払いにすることができるのです。
どうすればもらえるの?
健康保険組合や国民健康保険組合に申請すれば、だれでも発行してもらえます。
当初は入院時の医療費にしか認められていませんでしたが、通院での抗がん剤治療など、入院に限らず高額な自己負担が発生するケースが増えてきたことから、現在では入院・通院を問わず、限度額適用認定証を利用することができるようになっています。
支払額はどうなるの?
これは、サンプルケースを見ながら、具体的に計算してみましょう。
サンプルケース
40歳・年収550万円の方が、ある月に3回通院して、合計60万円の医療費がかかった場合
上限額の計算式 80,100円+(医療費-267,000円)✕1% が適用される
1回目 医療費10万円(自己負担3割:3万円) →窓口では3万円支払う
2回目 医療費20万円(自己負担3割:6万円) →窓口では5万430円を支払う
80,100円+(30万円-267,000円)✕1%=80,430円
80,430円-1回目に払い済みの3万円=50,430円
3回目 医療費30万円(自己負担3割:9万円) →窓口では3,000円を支払う
2回目の時点で、上限額で頭打ちになっていますので、
ここから先は医療費✕1%分だけが追加されていきます。
このような感じで、限度額適用認定証を提示しておけば、最初から窓口で支払う費用を抑えることができるのです。
医療費が高額になることが分かっている場合には、健康保険組合や国民健康保険の窓口で事前申請をしてきましょう。
申請書類は何が必要?
申請書類や必要書類は、加入している健康保険組合や国民健康保険によって違います。
ご自身が加入している健康保険の窓口で確認してください。
添付書類として必要となる主なものとしては、
- 保険証
- マイナンバーカード または 通知カード
- 運転免許証などの身元確認書類
です。すぐにそろえられる書類ばかりですね。
いつまで使えるの?
有効期限は、申請日の属する月の1日~7月31日までというように設定されますので、最長でも1年間です。
入院後に申請する場合などは、少しでも早めに申請しておくといいでしょう。特に月末の場合には、なんとか当月中に申請しておくと、適用開始が1か月早まります。
即日交付を受けた事例もあるようですので、詳しくはご自身の健康保険組合または国民健康保険組合の窓口へ確認してみてください。
全てがカバーされるのか・・・
残念ながら、原則として、「ひとりの人が、1種類の病気などの治療に、同一医療機関を利用した場合」に限られます。
限度額適用認定証で分かることは、「その方の限度額計算方法」だけです。
他の病院の診療分や、家族の分を合算することは、医療機関にはできませんよね。このような場合、事後に高額療養費の申請を行って、差額分の払い戻しを受けましょう。
100%カバーされるわけではないにしても、その場での持ち出しが少なくなるのはとってもありがたいことです。
この「限度額適用認定証」は、存在すら知らない方が多いように思います。
ぜひ、覚えておいていただき、もしものときにはすぐに申請してくださいね。
戻ってくる前の医療費負担が厳しいときは・・・
事前に「限度額適用認定証」の申請ができなかった場合、3か月後に戻ってくるとは言え、今の医療費の支払いが困難だ!という場合があり得ます。
そんなときの救世主、それは「高額医療資金貸付制度」です。
なんと、高額療養費で支給される金額の8割相当額を「無利子」で貸し付けてくれます。
返すあてがあって、無利子で貸してもらえるわけですから、ふところが痛むことはありません。単純につなぎ資金にあてることができますので安心です。
他の目的で使っちゃったらダメですよ 😉
申請書類は何が必要?
こちらも申請書類や必要書類は、加入している健康保険組合や国民健康保険によって違います。
ご自身が加入している健康保険の窓口で確認してください。
添付書類として必要となる主なものとしては、
- 医療費の領収書
です。その他、所定様式で、借用書や支払申請書を記入することとなります。
原則として、支払われる高額療養費から借り入れ分が差し引かれて、残額が支給されます。
ですが、医療費の金額に変更があり、借り入れた金額よりも高額療養費が低くなってしまった場合には、指定される期日までにご自身で返還しなければなりません。
終わりに-医療保険をかけすぎていませんか?
高額な医療費がかかるときに、高額療養費制度は強い味方となります。
細かいルールまでは覚えていなくても、健康保険組合や国民健康保険の窓口に相談すればいいということ、事前申請や貸付制度があるということを知っているだけでも、大きな財産となります。
こうして見ていくと、医療費が高額になったときの備えは、知らず知らずのうちにしっかりできていることが分かります。
健康保険でカバーできない部分だけを、民間の医療保険で補えばいいわけですよね。
しっかり貯蓄ができていれば、追加の医療保険がいらない可能性もあり得ます。
多くの知識を得ることで、民間の医療保険への加入を適正なレベルに絞り込むことができ、結果として家計の固定費を減らすことにも役立てられます。
健康だから医療費なんて関係ない!と思っている方も、ぜひ知っておいてくださいね。
スポンサーリンク
スポンサーリンク