しがらみゼロのFPブロガーMisaki(@fpmisaki2)です。
税金の仕組みを正しく理解して、上手に節税をしよう!
そんなテーマで、所得控除の種類や対象を見てきています。
これから出てくる「物的控除」は、工夫次第で控除が受けられるものが多く、節税のチャンスが転がっています。
知っているか、知らないかで、使えるお金は大きく変わってきますので、しっかり理解しておきましょう!
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7種類ある物的控除には、年末調整OKのものと確定申告が必要なものが混在している。
ちょっとおさらいしておくと、全部で14種類ある所得控除は、
- 人的控除:1人あたりの控除額が決められているもの
- 物的控除:その年に支払ったお金の内容に応じて決められるもの
の2つに分類されるのでした。
ここでは、そのうちの物的控除について見て行きます。
まずは、年末調整の対象になっているものから確認していきますね 😉
社会保険料控除
健康保険料、国民年金保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料、後期高齢者医療保険などが対象です。
上限額とかには、特に決まりがなく、支払った分は全て控除されます。
会社員の場合には、毎月の給料から保険料が天引きされていますよね。
そのため、支払っているという実感がないかもしれません。
給与から天引きできる=会社で把握できる ことから、社会保険料控除がいくらなのか? については、会社側で計算して差し引きしてくれます。
何もしなくても大丈夫なのですが、ここで1つ節税情報です。
社会保険料控除の対象となるのは、「自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合」です。
つまり、扶養親族のときと同じように、仕送りをしている親などがいる場合には、その国民年金保険料を支払ってあげれば、社会保険料の控除の対象となります。
全額現金で仕送りをするのではなく、一部は社会保険料を代わりに支払ってあげるという方法を取れば、社会保険料控除の対象にできちゃう可能性があります。
ただし、年金から保険料が天引きされている場合には、年金受給者本人が支払ったとみなされますので、社会保険料控除の対象にすることができないなど、注意すべきポイントがあります。
支払方法は、口座振替や納付書払いにしておく必要がありますので、しっかり確認しましょう。
該当する方は、確実に社会保険料控除の対象にできるように、最寄りの自治体に手続き方法を確認しながら進めてみてはいかがでしょうか?
生命保険料控除
契約した時期によって、計算方法が異なります。
- 新契約:平成24年1月1日以後に締結した保険契約
- 旧契約:平成23年12月31日以前に締結した保険契約
と区別されています。
新契約(平成24年1月1日以後に締結した保険契約等)
控除額の計算方法は、年間の支払保険料によって異なります。
- 20,000円以下 支払保険料の全額
- 20,000円超 40,000円以下 支払保険料✕1/2+10,000円
- 40,000円超 80,000円以下 支払保険料✕1/4+20,000円
- 80,000円超 一律40,000円
月々の保険料が7,000円を超えていれば、上限の40,000円になると考えると、上限額に該当する方が多いのだと思います。
ただ、保険料の種類は3種類に分かれていて、それぞれで上記の計算をしていきます。掛金の内訳によって、控除額が変わってきますので、分類してから計算する必要があります。
- 新生命保険料控除 →主に死亡保険
- 介護医療保険料控除 →主に医療保険、がん保険や介護保険
- 新個人年金保険料控除 →個人年金保険
旧契約(平成23年12月31日以前に締結した保険契約等)
こちらも、控除額の計算方法は、年間の支払保険料によって異なります。
- 25,000円以下 支払保険料の全額
- 25,000円超 50,000円以下 支払保険料✕1/2+12,500円
- 50,000円超 100,000円以下 支払保険料✕1/4+25,000円
- 100,000円超 一律50,000円
一律50,000円なので、昔の方が良かったじゃん! と思いがちですが、必ずしもそうとは言えません。
旧契約は保険料の種類が2種類だけです。
- 旧生命保険料控除 →主に死亡保険
- 旧個人年金保険料控除 →個人年金
つまり、
新契約は4万✕3種類=最大12万円の控除
旧契約は5万✕2種類=最大10万円の控除
となるのです。
利用している保険の種類によって、損得は変わってきますね。
新旧どちらの契約なのか、どの保険料控除に当たるかは、毎年確定申告のころに届く生命保険料控除証明書を見れば、ひと目で分かります。
契約の種類が分かれば、第一生命のサイトに、生命保険料控除額計算サポートツールがありますので、こちらで計算してみると簡単に控除額が調べられます。
会社で年末調整をする際に、生命保険料控除証明書を提出し、手続きをすれば控除が受けられます。
該当する場合には、忘れずに提出しましょう。
この控除が受けられることを理由に、保険に入りませんか? との勧誘を受けることもあります(特に、新個人年金保険)。
ですが、ご覧のとおり、支払った保険料の満額が控除されるわけではありません!!
控除によって得られるメリット以上に、出ていく費用が大きいですので、保険への加入は必要最小限にしておくことをおすすめします。
人生の3大支出は、住宅費・教育資金・老後資金と言われていますが、3大支出+1と言えるくらい大きな支出が生命保険料です。
必要で加入する分の保険に関する控除は、しっかり受けて欲しいのですが、控除狙いで保険に入ることは本末転倒です。
そのようなことにならないように、ご注意くださいね 😉
地震保険料控除
地震保険は、火災保険のオプションとしてしか加入できない保険です。
地震保険に加入している場合には、年間の支払保険料に応じて、
- 5万円以下 支払金額
- 5万円超 5万円
が地震保険料控除の対象となります。
地震保険の必要性については、状況によりますが、
- 家を新築したばかり
- 住宅ローンの残債が多い
- 貯金が少ない
- 地盤が弱い、地震のリスクが高いところに住んでいる
- いざという時に頼れる家族や親族がいない
という方は、検討の余地ありだと思います。
財務省の『地震保険制度の概要』より
地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的として、民間保険会社が負う地震保険責任の一定額以上の巨額な地震損害を政府が再保険することにより成り立っています。
地震保険の保険金額は、火災保険の半額までとなっている点からも、建物を立て直すための費用というよりも、まずは生活を立て直すための費用を準備するためのものと考えられていることが分かります。
そのため、生活を立て直すための当面の資金にあたる貯金がある場合には、加入しなくてもいいでしょう。
上手なお財布管理が、貯蓄を増やすカギになります。まずはお財布の整理からはじめましょう!
こちらも、生命保険料控除と同様に、加入の必要性から考えていただき、加入した場合には忘れずに「地震保険料控除証明書」を添えて、年末調整をしてくださいね。
小規模企業共済等掛金控除
なんだかよく分からない名称の控除が出てきましたね。大企業にお勤めの方だと、関係ないやと思いがちなこの控除。実はけっこう重要です。
iDeCo(確定拠出年金)が、これに当たります。
2017年から、個人型確定拠出年金という「自分年金」の積み立てができる対象者が拡大され、ほぼ全ての方が加入できるようになりました。
超高齢化社会に向けて、各自で年金の積み立てをしておいてね!という目的で、税制面でも優遇されているのです。
なんと、掛金が全額所得控除されます。
自営業、会社員、公務員など、職種によって年間の掛金上限額は決められていますが、節税効果としては、他に比べても超強力です。
老後資金をためておきたい方、60歳まで引き出せなくても大丈夫な方は、ぜひ活用を検討して欲しい制度です。
ですが、多少は投資のお勉強も必要ですし、課税の繰り延べマジックについては、しっかり理解しておきたいところです。
iDeCo自体は、税制面で恵まれていて、とってもお得な制度。
だからこそ、繰り延べ効果を最大限に生かすために、節税で、今使えるようになったお金を有効活用することも意識していただきたいと思います。
iDeCoの詳細については、こちらをチェック!
まとめ-使える所得控除はもれなく使う。でも、控除のために保険に入るのは本末転倒です
7つある物的控除のうち、年末調整がOKな4つをご紹介しました。
この4つは、確定申告しなくてもいいので、ハードルが低いですよね。
会社の年末調整の時には、もれなくしっかり記入して、使える所得控除はもれなく使いましょう。
ただし、所得控除があるから・・・という理由の保険の売込みにはご注意ください 😉
残りの3つの物的控除は、確定申告をしないと、控除が受けられないものです。
でも、確定申告は、やってみれば意外とカンタンです。
私も、初めての確定申告には、緊張しながら取り組みましたが、あまりのあっけなさに拍子抜けしたくらいです。
所得税の還付(=口座への振り込み 😆 )も無事に受け取り、やってよかったなぁと思っています。
物的控除の続きは、こちらからどうぞ!
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